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「雲雀さん……と心葉?」
近づいてきた綱吉さんは真っ青な顔をしていた。近づいてきたのにまた後ろに退がるのは何でだろう?
「君、下校時間は過ぎたはずだけど」
「ひいっ、すみません。雲雀さん」
「………」
頭を大きく下げた綱吉さんを黒髪の男の人…雲雀さん?がやはり獄寺さんのような表情をする。
苛々?だっけかをしているんだろうか。口がへの字みたいになっていた。
「ところで、この子知り合い?」
「えっ、あ…従姉妹というか居候というか…」
「はっきりしなよ」
銀色の棒を構える雲雀さんに、綱吉さんは両腕を縦に大きく振っていた。顔が凄く泣きそうだ。
その理由は分からないけど、ボクは余り関係無いようなので二人の邪魔をしてはいけないと思い、廊下の端で壁に背を当てぼんやり見ることにした。
「君は群れてばかりだね、今度は女の子かい」
「なっ!?ち、違いますよ」
「じゃあ、その子は何?まさかさっき言ったのは嘘かい」
僅かだけど、雲雀さんの手に力が込められた気がした。綱吉さんは話通じねー、と言って頭を抱えている。
雲雀さんは一つ溜め息を吐いて、綱吉さんを見詰めた。スッと銀色の棒を持った腕が胸の前まで上げられた。
すると綱吉さんが小さく後退っていく。雲雀さんが同じ歩幅で詰め寄っていく。
「まあいいや。退屈していたんだ、相手をしなよ」
「なっ!?そんな理由で襲わないで下さいよっ!!」
そして、雲雀さんは淡々と言って銀色の棒を綱吉さん目掛けて振り回した。
避けようとして、それが綱吉さんの頬を打つ。その衝動で横に飛ばされた綱吉さんは壁にぶつかり、床に尻餅をついた。
目に水滴を浮かべて、頬を擦りながら、叫んだ。
綱吉さんと雲雀さんはどういう関係なのだろう?
その様子を見ながらふと思う。
直ぐに立ち上がった綱吉さんは、銀色の棒に当たらないように走り出した。ボクの方へと向かってくる。
その後ろからは雲雀さんが口の端を上げ、舌を下唇の上を走らせて追ってきている。
これは鬼ごっこというものだろうか。だとしたら綱吉さんと雲雀さんは凄く仲が良いんだろう。
立って、と綱吉さんの叫ぶ声を聞きながら、なんとなくそう思った。
そのままボクは綱吉さんと家まで走った。家に着くと、喉の奥に何か刺さるような感じがして、息が上手くできなくなった。
その理由は分からない。
そう言えば、雲雀さんはボクと綱吉さんが学校を出ると追うのを止めた。綱吉さんは気付かないまま走っていた。
なんて言うか、雲雀さんは不思議な人だなと思った。
放課後に出逢った不思議
帰った後、綱吉さんは頻りに雲雀さんには気をつけてとボクに言った。
二人は仲が良いんだと思っていたので、それが少し不思議だった。
今度、雲雀さんに逢ったらどういう関係なのか聞いてみようと思う。
何でそう思ったのかはやっぱり分からない。
♯さようなら♯―END―
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