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それから、会話がお互いに見つからないせいか、向かい合った状態で沈黙が続く。
洗面所から出ていって、とも言い難く、どうすれば良いか悩んでしまう。
とにかく、何か話さないと。
そう思い、口を開いた。両腕が不自然に上下するのは、癖というか、仕様というか…気にしないで貰えると嬉しい。
「あ、あの、オレ、沢田綱吉で…」
…何が言いたいんだオレ。
どうしてこう皆みたいに上手く出来ないんだろう。
「沢、田、綱、吉…?」
それを彼女はたどたどしく繰り返した。
それが無意識なのか、彼女の優しさなのか分からないけれど、こうなってしまったら、無理矢理にでも、話しを続けないといけない、と意味も分からない使命感がオレを会話続行へと促しす。
…早く準備したいのになぁ。
「あ、だから、その十代目さん、じゃなくて、皆みたいにツナで良い、よ?」
「ツナ…さん?」
「うん、そう」
…何が、そう、なんだろう。苦笑いを浮かべる自分が少し情けなく思える。
「ツナさんっ!」
「へ?」
突然、はっきり呼ばれた名前に吃驚してしまった。同時に浮かべられた満面の笑みに一瞬ドキッとしてしまい、反射的に俯く。
何やってんだろ、オレ。
「あぁっと、それで、君は…」
赤面した表情を隠すように、俯いたまま、少しだけ顔を上げて、オレは今一番聞いて置いた方が良いんじゃないかと思うことを尋ねた。
彼女は首を軽く傾け、少しだけ考えるかのように宙に視線を彷徨よはせて、向き直って言った。
「小由良心葉」
「うん、それは…その分かるんだけど…」
「違います…か?」
そう言われて、尋ねられると弱る。
透き通った灰色の瞳は真摯にオレを見つめてきて、それがどうしていいかを問い詰める様で、どうすれば、分かりやすく伝えれるか、単純な答えを難しくさせる。
…ランボ達みたいなら楽なのに…。
朝からついてないな、とも思うけど、しっかりしないと、とも思うから、余計にややこしくなる。
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