B 『ふぁ…』 勢い込んで走ったら、すぐに息が切れたので、近くにあった公園で私は一休みすることにした。 …体力ないな、私。 文学少女だもん、仕方ないな。 作者と同じ名字のある三つ編みの女子高生が脳裏をちらついたが、直ぐに掻き消した。 怒られそうだし、世界違うし。 今いる公園は、明らかに漫画で見馴れた公園なのだ。 アニメだった気もする。 ま、いいや。 思わず辺りを見回してしまう。 誰もいない。 『…せっかく』 少し、残念だ。 椅子代わりにしていた、半分土に埋まったタイヤから腰を上げて、歩き始める。 走るのには懲りた。 諦めの早さが私の取り柄だと思う。 『あ…』 いくらか歩いたところで、水の流れる音がしたので、立ち止まった。 別に、遭難しているわけではない。 川だろうか? マンションが邪魔で見えない。 道路を迂回するのも面倒だったので、マンションは横切ることにした。 『な…っ!?』 驚いた。 マンションを横切ったら本当に川があった。 自分の聴力凄いな…。 じゃない。 そこじゃない。 …って、誰に言ってるんだ。 ああ、そんなのどうだっていい。 川には橋が掛かっていた。 それは別に珍しいことじゃない。 だけど、 その橋の上に、変なのがいた。 『……鎧?』 橋の上には、鎧人間がいた。 しかも、手には日本刀………ではなく、アイスホッケーだかに使うスティックが握られている。 新手の銀行強盗だろうか? 『…川の上で?』 そんな、遥か昔の刀狩りの大男でもあるまいし。 暫く目が釘付けになってしまった。 [*前へ][次へ#] |