♪君のいる世界。
『んあ』
目がチカチカする。
真っ黒が急に真っ白で、ええっと、あ…
『あっ!』
勢いをつけて起き上がった。
首を左右にブンブン振り回す。
序でに、縦と横にも振ってみた…何の意味があるかは分からない。
『…………』
一瞬の黙考。
『自分の部屋だ』
ガックリと肩を落とした。
なんだ、さっきまでのはやはり夢か。
『…って、おかしいだろ』
自分に自分でツッコんだ。
…成る程、これだから私は天然って言われるのか。
少し冷静になって考えてみよう。
もしさっき迄のが全て夢だとしたら、私が今ベッドの上にいるのはおかしい。
教会に行ったのは現実の筈。
万が一、それを含めて夢だとすれば、と考えなくもないが、その長さは異常だ。
現実味も有りすぎる。
と、すれば、此処は何処だろう?
見る限り、私の部屋だ。
一先ず、ベッドから下りた。
何かを知るには、動かなければならない。
インドア至上主義の私だが、今はそうも言ってられない。
『着替えるの…メンドイ』
ニット帽に眼鏡の彼が一瞬乗り移る。とはいえ、流石にパジャマの儘での外出はマズイので、クローゼットの扉を開けて、物色する。
相変わらず、黒ばっかだ。
理由は特にないが、服を買うと、黒い物が多くなる。
好きになるのに理由なんてない。
誤魔化してみた。
誰に対してだろう。
はあ…。
溜め息が出た。
適当に選んで、着た。
化粧は…いいや。
準備は出来た。
…5分で。
女の子としてどうなんだろう。
そんなことを思ったので、一応、鏡を見た。特に意味は無い。
『……え』
その瞬間。
思わず声が洩れた。
吃驚してしまった。
だって。
『私…若くない?』
背も縮んでいる。髪も肩口の辺りまで短くなっている。
あ、だから服が大きいのか。
今更気付いた。
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