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 雪の降っていない夜に鴻と並んで学校を目指して歩く。
 私はジャージにカーゴパンツ、鴻はスタジアムジャンパーにカーゴパンツと端から見れば男子にしか見えない服装だ。
 風はなく、そこまで寒くもないそんな夜だった。


 空を仰げば、降ってきそうなほどに星が犇めき、大小様々に瞬いていた。
 冬の夜空は綺麗だ。
 静かな光が心を落ち着けていく。

 悪くはない、そう思った。


「げ…てめーら、何でこんな時間に」


 それが、数秒で台無しにされた。


「アンタこそ、何してるのよ!」


 思わぬ所で現れた人物に鴻は食ってかかった。
 実に迅速な対応だ。
 しかし、時と場所を考えて欲しい。
 今は夜で、此処は住宅地である。近所迷惑甚だしい。


「いたら悪ーのかよ!てめーに言われたくねーんだよ」

「はああっ!?アンタ琳に向かって何文句言ってるの!!何様!!」

『「いや、てめー(あんた)に言ってんだよ(言ってたろ)」』


 私と獄寺は揃って言った。
 吃驚した。
 まさか突然振られるとは思ってもみなかった。
 何様じゃないっ。そっちこそ何用だ。

「嗚呼、そうかそうか」


 鴻は腕組みをして、一人ウンウン頷いた。
 これ以上、話を続けないで欲しい。
 獄寺が眉間に皺を目一杯寄せ、銜えた煙草を噛み始めていた。

 鴻は厭らしく笑みを深めた。


「独りぼっちの寂しい寂しいミザリークリスマスなのね!獄寺かっわいそう」

「っんだとっ!!!椋月っ!!てめーっ!!喧嘩打ってんのか!!?」

『鴻、本気で黙れお前』


 何本ものダイナマイトを手に現した獄寺とともに、隣で獄寺を嘲笑う友人(ニタリ)を睨み付ける。

 獄寺、私も打倒鴻に協力しよう。
 バックの中の本に手を当てる。
 と、その時だ。


「かぁぁあああしわぎいいいいいいいいいいぃぃぃぃっっっ!!!!!!」


 遠くから鳴り響いた怒号のような絶叫に私達は一斉に声の鳴った方を振り返った。

 全く、どいつもこいつもこの聖夜を何だと思っているんだ。


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