♪鐘が導く先へ 夢の中で、骸に逢った。 その翌日、私は教会に居た。 放課後に、友人、と呼べるだろう椋月鴻を待ってる最中、頭の中で昨日聞いた鐘の音が鳴り響いたのだ。 骸? 私は周囲を伺ったが、やはり骸の姿は何処にも無かった。 “教会ではないですか?” 溜め息を吐いた直後、昨日の夢の断片が思い出された。 で、気付いたら、私は教会にいた。 だが、此処にも骸は居らず、入口の正面で座っていると、すっかり忘却の彼方へと消えていた鴻がやってきた。 そして、彼女と他愛のない…否、過剰じゃないか?と疑問に思えて仕方ない遣り取りをしていた、その時だった。 鳴る筈のない、ずっと前に無くなってしまった鐘が突然鳴り出し、 “クフフフフ…” 読み慣れ、昨日聞き、待ち望んでいた、彼特有の笑い声が鳴った。 振り返った先。 其処に、彼が、六道 骸が悠然と佇立していた。 “おや、またお逢いしましたね” と、彼はクスリと笑む。 夢、じゃない。 確かに其処に在る。 存在している。 私は思わず涙を溢してしまった。 逢えて嬉しいよ。 私は流れる涙はそのままに、心からの笑みを浮かべた。 [*前へ][次へ#] |