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♪前哨戦


 秋ですね。

 窓から覗く盛りを終え落ち着きを取り戻した陽射しの中、遠くに見える山が、所々緑から暖色系の色へと衣替えをしている景色が季節の変わりを主張している。


「君達はいつも群れてるけど、何が良いの?」


 窓から視線を戻して、今日も今日とて山の様に積まれた書類と睨み合っていれば、つと委員長様が何気無い様子で呟いた。

 私がその声に振り向くと、隣の席で書類に判を押し続けていた友人(ぐったり)も手を止めそちらを向いた。


『急にどうしたんですか?』


 質問の意味がよく分からなかったので、問い返す。此くらいの事は許されると最近知った。


「咬み殺したくならないのかと思ったんだ」

『鴻をですか?』

「他にもいるのかい?」


 なんて突拍子もない人なんだろう。平静に返される言葉の一つ一つに苦笑いしそうになる。

 他に居たらどうなるんだろう。

 聞かなくとも答えが明白だが、生憎というか残念なことに行動を共にしているのは鴻以外には居ないため、いない、とすんなり答えようと口を開く。

 だが、そうしようとした矢先、例の如く、隣の問題事を掘り出す鬼才が事を荒立て始めた。


「琳を咬み殺したくなるわけないじゃん!いつも一人ぼっちの雲雀には分からないのか、あはっ」


 あはっ、じゃねーよ。
 何でオールタイム喧嘩腰なんだろうかこの友人(得意気)。
 恭弥の口許が傍から見ても明らかな程に不機嫌に歪んだ。


「ワオ。君はやっぱり咬み殺さないといけないようだ」


 恭弥は音もなく立ち上がった。その手ではいつの間に出したのか、トンファーが鈍い光を放っている。


「やれるもんならやってみなさいよ!」


 此方は対照的に荒々しい音を立てながら立ち上がり、すかさず薙刀を構え、恭弥を指差し高らかに主張した。


 こうして今日も、風紀委員会の仕事は溜まるのだった。


 むしろ、毎日毎日喧嘩して何が良いのだろうか。



 

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あきゅろす。
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