[携帯モード] [URL送信]
昼休み、出会う

自分で落とした給食を片付け、席に座り机に伏せる。昼休みまであと少し。昼休みになったら音楽室に行こう。そんな事を考えた。

チャイムと同時に席から立ち入学案内と一緒に入っていた校内説明書を持ち廊下へ出る。今居るのは3階で、音楽室は4階の端にあった。東階段を登り左に曲がるとすぐ。鍵が閉まっていたけど、準備室の鍵は開いていたからそこから入った。

鍵を閉め、カーテンも閉めて電気をつける。少し埃を被っていたグランドピアノは調律はきちんとされていた。
指ならしに1曲。有名なクラシックを楽譜通りにひく。久々に聞いたピアノの音は気分を高揚させた。
指でリズムを刻み今度はアレンジを加え鍵盤を…叩く。
ダンッダンッとペダルを踏み鳴らし激しいクラシックだった曲を作り上げる。指が吊りそうな感じが堪らない。適当な英語を音に乗せ口を動かし頭の中で歌ってゆく。
バンッと最後に鍵盤を叩きつけ曲は終わりを告げた。

『アァアアアアアア゛ァア――――っ』

私の叫びは 声 としてではなく、 空気の漏れる音 として喉から出た。

『どうして、どうして出てくれないの』

涙と共に聞こえた拍手の音。心臓がドくんと叫び、やってしまった、と冷静さを取り戻した頭で考えた。

←* #→

11/28ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!