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03

うっゴホッうぇ…

普通なら、苦しそうな声を上げ吐くのだろうけど、私は声がでないから咳き込む音しかトイレに響かなかった。
ボトボト汚物を吐き出し涙を流す姿は滑稽だ。トイレの外から椿先生の声がするがもちろん返事はしない。

これくらいの事で動揺するなんてダメだなあと考え、再び襲う吐き気に涙が出た。指を喉に突っ込み吐き出す。もう、胃液しかでないのにまだ吐き出そうと動く胃に笑いが漏れた。

うっ、え

喉が熱い。焼けるように熱かった。
吐き気は落ち着いたけど涙は止まらない。でももうトイレをでないと椿先生が心配する。そう思い個室のドアを開いた。

「桐原、さん」

個室の前に立ち私が汚物を吐き出す音を聞いていたなら悪趣味だ。そう思いながら横を通り過ぎ、水道の蛇口を捻る。口を濯ぎ汚物で汚れた手を洗ってトイレを出た。

「雪那、」
「   」

ダイジョウブ
パクパクと口をゆっくり動かし椿先生に言いたい事を伝える。
椿先生はわかってくれたらしく頷き私の後ろを歩いた。

「そう言えば夏生は?トイレに入っていった筈だけど」

その質問には聞こえないフリをして教室に入る。
クラスメートの視線が痛いが無視して席に着いた。転校初日からこんなんでやっていけるのか心配だが、仲良くするつもりは更々無いのでどうでもいいと自己完結した。

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