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夢、過去、朝

「もう、慧に関わらないで。これ以上、慧を苦しめないでよ」
「…無理だよ。私には、慧がひつ――」
「黙れ!………あんたなんか、死ねばいいのに」

そう言って彼女は、私を突き飛ばした。
最後に覚えているのは、彼女の涙と、私の声。

「け、い…」

ピピピピピピ…ピピピピピピ…
ピピピピピピ…ピピピピピピ…
ピピピ―バン――

あれは確か中2の夏休み前か。

嫌な夢だ。何度見ただろう?そのたびに少しずつ違う夢にどれが本当にあったものかわからなくなっていた。全部、私が作り出した物だったらよかったのに。そんなことを考えて自虐的な笑みを浮かべた。涙はもう、出なかった。

中2の夏休みが明けて少し経った頃、私は慧を失った。そのまた少し後に、声も、失った。

慧が隣に居ないことと、喋れなくなった私に気を使うクラスメートに嫌気が差し、学校に行かなくなったのは声を失ってすぐだ。

学校に行かない私を見かねた母が、母さんの弟(つまり私の叔父)が働いてる学校に転校しよう、と言ったのは中2の秋。

最初は人と馴れ合うのが嫌だから、と断っていたけど、田舎の方にあって、とても自然にゆっくり時間が過ぎる場所だと聞いて渋りながらも自分で行くと決めた。

そして、いろいろ手続きが長引いて中途半端だけど今日、4月23日、月曜日。私は転校する。

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あきゅろす。
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