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姉ちゃんと俺と3年E組
名前で


梅雨が明けミンミンと蝉の鳴き声が響く。
あれから私は子猫の様子を見に行くようになり、カルマくんと会う時間が増えた。

そして今日も彼のお宅にお邪魔する。


『カルマくーん、おはよー』

「いらっしゃい」


玄関のチャイムを鳴らせばすぐに彼が扉を開けて私を入れてくれた。
コンビニ袋をぶら下げた私はそれを彼に渡した。


「メロン煮オレじゃん」

『新作出てたから買ってきたよ!煮オレシリーズ好きなんでしょ?』

「ははっ、良く俺の好きなの知ってるね」

『だって会う度にそれ飲んでるから』

「あぁ」

『レオには牛乳と猫缶』


カルマくんの部屋へと入り近くに座ると"レオ"が近寄りスリスリしてくる。
"レオ"とはあの時に拾った子猫でカルマくんがそうなずけた。


『レオ少し大きくなったぁ?』

「んー、どうかな」


私はレオを抱き上げ膝に乗せ頭を撫でた。
ゴロゴロと気持ち良さそうに鳴く姿はとても可愛くて自然と頬が緩んだ。


「そーいえば、もう夏休みなんだっけ?」

『そうだよ!毎日暇で暇で地獄だわ!そっちはまだなんだよね?』

「あと3日」

『そっか!確か夏休み中に沖縄行くんだっけ?』

「んー、そう。面倒だけど行かないといけないんだよね」

『そっかー、楽しんで来てね!』


カルマくんが頷くと私の膝にいるレオを見た。


『あっ!カルマくん、帰って来るまでレオは私が預かるよ!』

「えっ、でも…」

『大丈夫大丈夫!2、3日ならバレないし!』


そう言うと安心したのか"じゃあお願いしようかな"と言ってレオの頭を撫でた。


______


それから1時間ぐらいカルマくんと話、そろそろ帰ろうと立ち上がる。
と、足元に置いてあった袋を踏み転びそうになる私をカルマくんが手を引き抱き締める大勢になった。


「名前っ!」

『っ!?あっ、ありがと…//』

「どういたしまして…//」


この大勢で名前を呼ばれ驚く。
顔が熱くなるのが分かり少し俯きお礼を言うと私を離した。
彼をチラリと見るとほんの少し顔が赤くなっており、その姿にドキッとしてしまった。
それから私達は玄関へと移動し靴を履いた。


『じゃあ、旅行前にレオ引取りに来るね』

「うん、じゃあまた連絡するね」

『うん!お邪魔しました。』

「お姉さん、気を付けてね」


門前で話をし手を振り歩き出す私にカルマくんも手を振った。
"お姉さん"と言う言葉に反応した私はまた振り返りカルマくんにこう言った。


『カルマくん!さっきみたいに名前って呼んでいいよ』

「えっ…?」

『お姉さんじゃなく名前で呼んで欲しいの!』

「……名前」

『っ…バイバイ!//』


カルマくんに名前を呼ばれ心臓がドキドキと鳴るのがわかった。
彼に聞こえるんじゃないかと思い私はそのまま家へ走った。

振り返りはしなかったけど多分カルマくんは笑ってるんだろうなーなんて考えたり、思い出すだけで顔が赤くなるのがわかった。



_______


「姉ちゃん、おかえりー」

『ひひひひろっ…!ただいま!』

「え?ちょ、姉ちゃん?」


家に入ると帰ってきたばっかりの陽斗に声をかけられたが、カルマくんの事でいっぱいの私はそのまま部屋に入った。
ドアの前で呼ぶ声も頭に入らず、私はカルマくんに恋をしたのだと気付いた。


それから数日、
ご飯が喉を通らずぼーっとする事が多くなった。



________



「なんか最近、俺の姉ちゃんおかしいんだ」

「えっ?なになに?」

「いや、なんかさ。ぼーっとする事が増えたし、壁に向かって呟いてたり…」

「うそ!あのお姉さんが?」

「多分あれは恋愛絡みだな!」


学校では前原姉の恋愛説で話がいっぱいだった。
それを遠くでカルマが聞いていた。





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