姉ちゃんと俺と3年E組
海に行こうC
「姉ちゃん!?」
俺は急いで海の家の休憩所に走った。
時間は13時を回っており昼時だからかここにはあまり人はいなかった。
「前原、静かに…」
周りを見渡して目的の人物を探すと渚に声をかけられた。
その方向を見るとカーテンがありそっと中を覗く、そこにはソファーに横たわりタオルケットをかけて眠る名前の姿があった。
「良かった…」
俺はホッとし近くの椅子に腰掛ける。
そして磯貝が事情を説明してくれて俺は業にお礼を言った。
業がいなかったら姉ちゃんは危険だったし、俺が寝坊したせいでその場に駆け付けられなかった。
俺は悔しくて唇をぎゅっと噛み締めた。
_______
それから30分が経とうとした時
『カル…マ…く…』
名前は微かに小さな声でそう呼んだ。
それを察知したみんなは気を使ってか業をその場に残し部屋から出て行った。
「名前」
俺は名前の近くにいき手を優しく握った。
そしたら彼女はぎゅっと握り返して呟いた。
『あり…がと…』
「うん」
『恐かった…カルマくんが来てくれなかったら…』
「名前、もういいから」
俺は名前の頭を優しく撫でた。
それから安心したのか彼女はまた眠りに入った。
彼女の口から俺の名前が出た時は少し驚いたけど、それよりも凄く嬉しかった。
みんなも気を使ってかすぐに2人きりにしてくれたし、もしかして俺の事…なんて考えて見たけど思い違いだったらなど考えてしまう。
そんなふうに思うって事は彼女の事が大好きなんだなと改めて思った。
今なら誰もいないし、少しだけ…
眠る彼女の頬に軽くキスをした。
__________
『んっ……』
ふと目が覚めた私は見慣れない天井に戸惑った。
周りを見渡してみるとすぐ近くの椅子にカルマくんが眠っていた。
あぁ、そうか
変な連中に絡まれてやられると思ったら
カルマくんが助けにきてくれたんだ。
ずっと傍にいてくれたのかな?
そんな事を思いながら私はカルマくんの頭を撫でた。
初めて出会った時も彼に助けて貰ったんだよなと思い、なんだか懐かしくなり頬が緩んだ。
まさか陽斗のクラスメイトだと思わなかったし、好きになるなんて思わなかった。
恋愛よりも友達とバカ騒ぎしてる方が楽しかったし、昔からみんなに慕われていたから気づかなかったのかもしれない。
それが今ではここで眠っている赤髪の少年にドキドキしている。
窓から入ってくる心地の良い風が彼の髪を揺らす。
キラキラと輝く赤髪と整った顔。
優しい声で名前を呼ぶ彼を思いながら私は彼の耳元にそっと囁いた。
『大好きだよ』
自分の行動に驚き私は一気に顔が熱くなった。
そして彼はピクリ指を動かし目を開いた。
__________
『あ…の…///』
彼女は顔を真っ赤にしながら立ち止まった。
そんな姿は本当に愛らしくて頬が緩んだ。
俺はさっきの耳元で囁かれた言葉を思い出す。
すぐに返事をしてやりたかったが目の前の彼女が可愛くて少し意地悪をした。
「さっきの…もう1回聞かせて」
『えっ…//』
「もう1回聞かせてよ」
俺は名前に詰め寄った。
彼女は後ずさりしたが後ろはすぐ壁で俺は彼女の顔の横に手をついた。
そうすると真っ赤になった顔を俺から背けた。
逃がさないとばかりに俺は彼女の顔を覗きこむ。
『カルマくん…大好きっ…//』
「俺も名前の事大好きだよ」
そう言うと驚いた顔で俺を見る名前に優しくキスをした。
それから俺は渚くんに連絡して名前が目を覚ました事を伝えた。
渚くん達はすぐに休憩所に来て茅野ちゃんが名前に荷物を渡した。
そして着替えを済ませ俺達はみんなで帰った。
________
「姉ちゃん!本当に大丈夫かよ!?」
『うん!みんな心配かけてごめんね!』
「名前さん、私達の為に…」
『大丈夫だよ!何もされてないし!』
「でも!」
「俺がいなかったらヤバかったでしょ」
『カルマくん…』
「まあこれからは俺がいるから危険な目には合わさないけど」
『うん…//』
「なんか姉ちゃんと業、親密度上がってない?」
『えっ?あーまぁ…///』
「業!姉ちゃんに手だしたら!」
「寝坊したくせに良く言うよねー!」
「っ…悪い…」
帰りは陽斗がうるさかった。(笑)
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