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S.A.K.U.R.A.
ピンク色


家を出て10分ぐらいで駅に着いた。
年末年始が近いため
多くの家族連れやカップルに目に入る。

「ほら、行くよ」

電車が来たのでそれに乗る。
中は人がぎゅうぎゅうで
私達は1番隅っこに追いやられた。

『人凄いね』

「うん、帰省ラッシュだね。」

そうゆうと私を壁へと移動させる
後ろの人に押され私の横に手を付いた。
これを壁ドンと言うのだろう。
彼はいつもの笑顔で私を見つめていた。
あまりにも近くて頬が熱くなるのが分かった。
恥ずかしさのあまり俯く私に彼はごめんねと言った。


終点へ到着した電車は
先程とうってかわってガラリと静けさを取り戻す。
彼の手から開放された私は彼の後に続いた。


「あれ?亮介!」

「久しぶりだな!」

「もしかして青道逃げ出してきたのか?」

「ばーか年末年始の休み」

そこには小湊くんの友達二人がいた。
私はこんにちはと頭を下げた。

「おい、亮介!彼女連れかぁ?」

「さぁ、どうだろうね」

ジャンボと呼ばれる友達は小湊くんに肘でつんつんと突っつくニヤリと笑っていた。
私が言い出す前に彼が答えだものだから何も言えず
気付けばじゃあなと友達は去って行った。

「家、もうすぐだから」

私は少しモヤモヤとしたが
先へと進む彼の後を追った。

数分歩いたらそこには小湊と書いた表札があった。
茶色い屋根の煙突が目立つ家だった。

ガチャリ

小湊は自宅のドアを開けると
そこには彼に似たピンクの髪の笑顔が素敵な母親だった。

「ただいまー」

「亮ちゃん、お帰りなさい!」

『こんにちは!苗字名前と申します!』

私は深々と頭を下げるとお母さんはいいのよと笑顔で歓迎してくれた。

「お父さーん、亮ちゃん帰ってきたわよー!」

部屋の中へ招かれるとソファーで新聞を読む父親がいた。
私はまた自己紹介をし深々とお辞儀した。

「亮介、礼儀正しい可愛い彼女じゃないか!」

お父さんがそう言うと遠慮しないで寛いで行きなさいねと言ってくれた。
ありがとうございますとまた頭を下げる。
(彼女)と言う言葉に疑問を持ちながらも何も言わなかった。

(そうだよね、彼女とでも言わないと家に泊まらせて貰えないよね?私はただのマネージャーで…)

私が少し考え事をしていたら
小湊くんが荷物置きにいこうか?
と2階へと案内してくれた。




亮介、春市
そう書かれた部屋のドアを開けると
8畳間の部屋に二段ベットと二つの勉強机と本棚があった。
彼は自分の机に荷物を置くと私の荷物も隣に置いた。


『小湊くんって兄弟いたんだ?』

「うん、2つ下に弟がいる」

『そうなんだ』

そう言うと彼は下のベットに腰を下ろした。
私は少し周りを見渡すと本棚にはびっしりと怖い話やオカルト系の本がそろっていた。

ガチャン

「兄貴お帰り!」

勢い良くドアが開くと
先程言っていた弟が入ってきた。
私はビクリと身体を震わせた。

「ごめんなさい」

『あっ、大丈夫大丈夫』

目の前の彼は小湊くんと同じピンク頭で目元が前髪で隠れていた。
弟くんは頭を下げると
私は手を横に振りながらあははと笑う。

「弟の春市」

「こんにちは」

『苗字名前です!』

自己紹介をすると春市くんが口を開く。


「兄貴の彼女なんですか?」

『えっ…と』

いきなり彼女なのかと聞かれ頬が熱を持つ
そして彼、小湊くんが口を開いた。

「うん、いずれ彼女になる人だよ」

小湊くんがそんな事を言うもんだから
私の顔は見る見る内に真っ赤になっていく。
そのやり取りを見て彼の弟、
春市くんも真っ赤になっていた。


それから少し経ち
下からお母さんのご飯よの声で1階へ降りていく。







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あきゅろす。
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