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S.A.K.U.R.A.
胸の高鳴り

ミーンミーンミンミン


私達は初めての甲子園を目指し練習に励む。
今日はいよいよ西東京代表を決める試合だった。
結果は惜しくも5対6で負けてしまった。
この戦いで3年生は引退。
1年生と2年生でレギュラー争いが始まった。


「おっしゃー!」

「まだまだこっち!」

「もう一本!」

監督が打つ球を泥だらけになりながら獲る。
はかはかと息は上がり限界が近付く

『ドリンク持ってきましたぁ!』

名前の声が聞こえ一旦休憩をする。
彼女が作るそれは他のマネージャーよりも美味しかった気がする。
彼女がいるだけでキツイ練習も頑張れる。
いつからだろう?俺は気付いたら彼女を目で追っていた。

『伊佐敷くん、お疲れ様!』

少し遠くの方で彼女はドリンクを配っていた。
俺以外の奴にあんな笑顔でいられたらムカつく…
気付くと俺は名前の手を掴み走り出す。
いきなりの事で驚いた私はみんなの前だったのを思い出し恥ずかしくなった。
人影の少ない所に行き少し乱暴に手を離す。

「ムカツク…」

彼はそう呟くと名前は戸惑いながらも謝った。
違う、そうじゃない。
俺はただ周りの男に嫉妬しただけで彼女は悪くない。
その明るい笑顔を俺以外に向けて欲しくなかった。


「ごめん、嫉妬した」

俺はそう言うとその場から逃げ出した。
ぽつんと突っ立つ私は先程の言葉を思い出し赤面した。

『えぇっと…嫉妬って…』

ドキンドキン

赤く熱を持つ頬に手を添える。
胸は高鳴り静かになるまでまだ時間がかかりそうだった。



あの夜の練習以来
私達は少しぎこちなくなってしまった。

「名前おはよ」

『おっおはよ!』

彼はいままでと変わりなく話し掛けてくる。
それなのに私の胸の高鳴りはおさまらなかった。
彼に聞こえてしまうのではないかと距離を置いてしまった。
この気持ちに早く気付けば良かった。








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