S.A.K.U.R.A.
星が綺麗で
前を歩く小湊くんの隣を歩く。
ゆらゆら揺れるピンク色の彼の髪の毛
私は無意識に手を伸ばしていた。
『綺麗…』
私は呟くと我に返り
ごめんなさいと言い髪を触る手を退けた。
彼は気にしていないようで
別にとだけ言うと優しい笑顔を向けた。
「見て、今日は満月だよ」
小湊くんは月を指さし私に教える。
私も上を向いて月を見る。
まんまるとした満月で
雲一つない夜空に見せ付けるかのように綺麗に輝いていた。
私が月に見入っていると
亮介は月の光に照らされる名前を見て綺麗だと思った。
それから少し歩き家に着く。
赤い屋根の大きな家だ。
庭は花が綺麗に植えられていたのが印象的だった。
『小湊くん、送ってくれてありがとう!』
「うん、遅くなっちゃったから両親に挨拶していこうか?」
『大丈夫!私一人暮らしだから…』
彼女は少し寂しげに微笑むと気を付けて帰ってね?と手を振る。
名前に片手を上げて来た道を帰る。
さっき歩いて来た道は一人では静か過ぎた。
ふと思った。
あんな立派な家に彼女一人だけ?
名前の両親は単身赴任か何かなのか?
まあ、今度聞いてみるか。
あの時の俺はまだ何も知らなかった。
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