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S.A.K.U.R.A.
過去


それから翌日。
私と亮介くんは名前の両親が眠るお墓へとやって来た。

『お母さん、お父さん、久しぶり。』

私は持ってきたお花を綺麗に飾る。

「初めまして、小湊亮介です。名前さんとお付き合いをさせてもらっています。」

亮介くんは私の両親に頭を下げる。
私はなんだか嬉しくなり頬が緩む。

「名前さんと結婚させて下さい。俺が一生守り続け必ず幸せにします。お願いします。」

『お願いします。亮介くんの隣でずっと一緒に笑っていたいの。亮介くんなら私を幸せにしてくれる。お父さん、お母さん……っ…』


ヒューっと強い風が吹く。
咄嗟に目を閉じ開けるとそこには懐かしい両親の姿が目に映る。
薄らとボヤけてはいるが間違いない。
名前の両親はにっこりと嬉しそうな少し寂しそうな表情で名前を見つめてすぐに消えた。

気付けば目からポロポロと涙が溢れる。
亮介くんは何が起こったのかわからず私を優しく包む。
彼の香りでふと我に返ると涙を拭く。

「名前、大丈夫?どうしたの?」

私は先程起こったことを話すと亮介くんはうんうんと真剣に聞いてくれた。


両親に挨拶が終わり帰りのバスを待つ。
バスの時間まで後30分程あり近くのベンチに座る。
2人以外誰もいないここはとても静かだった。

『亮介くん、今日はありがとう。』

「いや、俺こそありがとう。名前の両親に挨拶出来て良かったよ。」

『うん。』

手をギュッと握り私は口を開く。

『あのね私の両親、4年前に事故で亡くなったの。』

彼女は今まで誰にも言ったことのない両親の話をした。



__________

今から4年前。
季節は夏
名前が中学2年生の時だった。
その頃の名前は修学旅行中で沖縄にいた。

名前の両親は母の実家へ向っている途中、大型のトラックと衝突し間もなく亡くなった。

名前の両親は結婚を反対され駆け落ちしたらしい。
そして15年経とうとしたある日、母の実家から一通の手紙が届いた。
たまには会いに来なさいとごく普通の内容だった。
両親は悩んでいて私が行ってきなと背中を押した。
名前も連れて行くと父が言っていたけど私は2人で会いにいきなと断った。
私に見られたくない所もあるだろうし…
そして修学旅行の日にそれぞれ出発したのだ。


2泊3日の沖縄旅行はとても楽しく間もなく帰りの飛行機が到着しようとした時、担任の携帯が鳴った。
学校からの連絡で名前の両親が亡くなったとの報告だった。
それを伝えられ私は両親が行った所へと向った。

病院に着くと父の両親と母の両親がいた。
お互い涙をこぼしながら言い合いをしていた。
私はその間に入り挨拶をしたが相手にもされず、両親の悪口を言われ最後に私のせいだと叩かれた。

両親が駆け落ちしたのは私を身篭ったからだった。
私さえ居なければ…そう思うと涙が込み上げてくる。
でも両親は私を守るために駆け落ちして私を産んでくれた。
どんな思いで私を育ててくれたか…
そう思うと居なければなどと思ってはいけない。
両親の為にも私は強く生きると決めたのだから…


____________


胸の奥に秘めていた思いを全て吐き出す。
あの日を思い出すと今でも泣きそうになる。
少し涙を浮かべながら話終わると亮介くんにギュッと強く抱き締められた。


「大丈夫。ずっと俺が守るから。もう1人にしないから。絶対幸せにする。」

『うん、幸せにしてね』

私はコクリと頷き亮介くんにキスをした。
それから間もなくバスが来て私の家に帰った。
久しぶりに見た両親を思い出しながら昔の楽しい記憶を振り返り眠りについた。





_________

管理人のリノンです。
ちょっとシリアスな話になってしまいましたが
間もなく終わりが迫ってきました!

実はこの話
私の実体験をだいぶ複雑にしました(笑)
両親は健在していますが、
結婚に反対され駆け落ちしそうになったり
修学旅行中におじいちゃんを亡くしたり
病死だったんですけどね

後は結構やらかしちゃいましたが
続きをお楽しみに!




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あきゅろす。
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