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S.A.K.U.R.A.
突然の告白


あの日から数日。
3年生は寮を出た。
毎日朝から晩まで賑やかな話し声が響いていた各部屋や食堂はしーんと静まりかえっていた。

私と亮介くんはあの日から顔を合わせていない。
なんて声をかけていいのかわからなかった。
部活も引退しそれぞれ新しい道を歩む。


高校最後の夏休みが終わり登校日を迎える。
短いはずの休みが凄く長く感じる。
亮介くんに会ったらなんて声をかけようか迷っていると見慣れたピンク頭の彼がやって来た。

「名前、おはよ」

『おはよ…っ』

「どうしたの?」

久しぶり見た彼はいつもの優しい笑顔をしていた。
それに安心したのか涙が込み上げる。
彼は優しく頭をポンポンと撫でてくれた。
そして私もつられて笑う。

「放課後、話があるから待ってて」

それだけ言うと自分の席に戻る。
彼の背中を目で追うとなにか考え事をしているのか難しい顔をしていた。
1時間目、2時間目と次々に授業が終わり
気付けば6時間目が終わっていた。
HRが終わり掃除が始まる。
掃除が終わり教室で彼を待っているとガラガラとドアが開いた。

「名前、お待たせ。帰ろうか」

彼は優しく手を握り学校を後にした。
家に帰る途中、亮介くんは公園を指差す。
住宅街に囲まれた小さな公園。
私達はそこのベンチに腰掛ける。
薄暗くなった空に一番星が輝く
さわさわと風で木々が揺れ動く
初めに言葉を発したのは亮介くんだった。

「甲子園、連れていけなくてごめん。俺達の力不足だった。」

『ううん!そんな事ない。みんな頑張ったよ』

少し俯きながら話す彼を私は抱きしめた。
ありがとうと呟く彼は決心したように話す。


「俺、プロに行くよ。」

『えっ?』

「あの試合が終わったあと球団に誘われたんだ。」

『凄い!おめでとう!』

「名前に1番に伝えようと思って」

突然の報告に驚きつつも亮介くんの手を取りぶんぶんと振った。
自分の事のように嬉しくて嬉しくて堪らなかった。
亮介くんも私の姿を見て微笑む。
そしてまた口を開いた。


「名前、俺に付いて来て欲しい」

私は少し首を傾げたら次の言葉で何を言われてるのか分かり顔が赤くなる。

「結婚しよう」

亮介くんは私をじっと見真剣な表情で話す。
彼をチラリと見ると耳が少し赤くなっていて緊張しているのが伝わってくる。
そんな彼がふと可愛く思う。

『私でいいの?』

「名前がいい。1番近くでずっと一緒にいて欲しい。」

『ありがと…私もずっと一緒にいたい』

亮介くんは私をギュッと優しく抱きしめそっとキスをする。
耳元で愛してると呟きまた唇を重ねた。









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あきゅろす。
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