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自分と同じサイズの男をなんとか室内に運び込み、床に敷いた長座布団の上に放り投げる。

シャワーを浴びたいとは思ったけれど、酒に酔った状態では風呂場で転びかねないから我慢した。

布団はひと組みしかないから、夏に使っていたタオルケットを金城にかけて、荒北自身は布団に潜り込む。

レースには出なかったものの、酷く興奮するレース展開で、気が高ぶりすぎて疲れていた。

布団に潜ってものの数秒で、荒北は眠りに落ちた。





なんだか寝苦しさを感じて、荒北は目を覚ました。

まだ夢の中にいる気分だったけれど、肌に触れる空気の冷たさに、段々と意識がはっきりしてくる。

誰かの手が、荒北の心臓辺りを這っていた。

××と約束していたかを考えるも、飲んでそのまま寝た記憶で終わっている。

自室にいるのは荒北と金城だけのはずで、ならばこの手は。


「……ッハァ!?」

一気に眠気が吹き飛んだ。

起き上がった勢いそのままに、目の前の男を突き飛ばす。

カーテンも閉めないまま寝てしまった為、室内は月明かりで明るい。


暗闇に浮かぶ金城の顔は、欲に染まっていた。

ぞくりと背筋が甘く震える。熱のこもった目で荒北を見つめる金城は、獲物を食らいつくさんばかりの雄の顔をしていた。


金城が、荒北に欲情している。

密かに思いを寄せていた相手からの視線に、荒北の体にも熱が沸き上がってくる。

驚きすぎて突き飛ばしてしまったが、これは、チャンスなんじゃないかと思った。

酒の入った金城は記憶が飛ぶ。

荒北が何しても、きっと明日の朝には覚えていない。


ごくり、と喉が鳴った。

ゆっくりと伸ばされた金城の腕を今度は逃げずに受け止めれば、性急に押し倒された。


愛おしい人を見るかのような目で、金城は荒北を見つめる。

すん、と癖で鼻を鳴らして、荒北は気づいてしまった。

(そっかァ、…金城は、俺をおりこうチャンだと思ってんのカァ)

少しのむなしさと、胸を刺す悲しみと。

痛みから目をそらして、荒北は厚みのある体を抱きしめた。



金城は今泉が好きだ。
知っていただろう。

背格好の似ている荒北を、今泉だと勘違いしているだけだ。

一夜限りの夢だと思えば良い。


知りたいと思っていた男の熱を感じられるのなら、荒北は自分の心を殺すことだっていとわなかった。




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あきゅろす。
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