7 堅物なお前の表情が、俺のせいで変わるのがうれしかった。 幼いころより傍にあり続けてくれた、時に真剣に叱り、時に共に喜んでくれるお前が、誰よりも愛おしかった。 それはきっと本来ならば家族に向ける愛だったのだと思う。 絶対の信頼は、とても心地よかった。 失うことなど、考えたくもなかった。 「来世で会えたら、」 なんて馬鹿なことを言った俺に、お前は何と返したのだろう。 もう何百年も前のことだ、所々が欠けた記憶は、虫食いのようになってわからない。 でもきっとお前のことだから、俺の喜ぶ言葉をくれたのだろう。 お前は、俺を、覚えていてくれるだろうか。 覚えてくれていたら、うれしい。 うれしいけれど、それを見ない振りして俺はとぼけて言うのだろう。 あなたは、誰ですかと。 お前が尊いと称えてくれた俺は、もういないから。 あの愛おしい目で、蔑まれたなら、俺はきっと生きていけない。 今更生に執着などないけれど、どうせ死ぬなら、最後はお前の笑みを焼きつけたままこと切れたい。 それは、なんて、こうふくだろう…、 ←→ |