滝夜叉丸は、かわいいと思う。
男だからもちろん胸はないけど、顔かたちは整っているし、何よりいつも自意識過剰で生意気なのが、2人きりになった途端従順になるのがいい。
まあ、私がそれを強いている節もあるけれど。
好きだよ、って笑顔で言ってやれば、一瞬眉根を寄せてけれどすぐにうれしそうに微笑むのがいい。
中に子種を出しても孕まないのがいい。
それに何よりも、私が好き勝手やっても壊れないのがいい。
今までのオモチャはすぐに壊れちゃったから、矜持の高い滝夜叉丸はすぐ駄目になってしまうとばかり思っていた。
だのに壊れもせず、そして次の日には何でもないかのように振る舞っている。
少し興味が湧いた。
何を言ったら、この子は泣くのだろう。何を強いたらこの子は嫌がるのだろう。
下世話な話だが、私は滝夜叉丸の涙に歪んだ顔が好ましかった。
普段はすましている顔が、くしゃりと歪み、涙を溢れさせ、時には鼻水や涎を垂らしながら悶えている様は、酷く私を興奮させた。
私だけに従うかわいいオモチャ。
モノ、としての好きだと思う。
人としても好ましいと思う部分もあるけれど(これでも彼は目上に対する礼儀はわきまえている)、それはきっと愛じゃない。
滝夜叉丸もそれに気付いているから、曖昧に濁すだけで、好きだと返したりしないのだろうな。
首を絞めたときに歪む顔と、逃げようと藻掻く身体が好き。
深く犯したときに、苦しそうに喘ぐ声が好き。
助けて、と繰り返す、滝夜叉丸が、好き。
かわいいから閉じ込めて、私だけのモノにしたいなあと思う。
今日も、私の下で喘ぎ藻掻く滝夜叉丸をかわいい、と思った。
もう力など入らない癖に、それでも必死に逃げようと藻掻く。
ああ、なんてかわいいのだろうこの生き物は!
助けて、もう嫌です、許して、せんぱい、たすけて、
呂律すら回らなくなった口で許しを請う、その姿さえかわいらしい。
たきやしゃまる、すきだよ。
そっと耳元で囁けば、ひっ、と引き攣った声と共に滝夜叉丸が果てた。
そのまま気を失って動かなくなってしまった滝夜叉丸を抱きしめて、ああ、好ましいなあと改めて思う。
滝夜叉丸はかわいい。
誰より、かわいい。
本当は首を噛みちぎって、痛めつけて、閉じ込めてしまいたいのだ。
「滝、すき、だよ」
夜が明けたら、また変わらぬ先輩と後輩に戻ってしまうから。
今だけ、やさしく抱きしめる。
(すきだよ、ずうっと)
朽ち果てるのは何か
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