どうかそばにいて。あしたもいっしょに、そのつぎのあしたもずっと。
(ボクらはただ、幸せになりたかっただけなのにね)
家族ができた。
長く苦しい覚醒の後に、やっと手に入れた一筋の光。
ずっとひとりぼっちだったボクが、何よりも求めていた、自分の居場所。
(家族になったあの日、ボクがどれだけうれしかったかあなたは知らない)
倒れ込んだ、自分よりはるかに大きい体にゆっくり近付いて、愛しい愛しいその大きなてのひらを、そっとなでる。
ぴくりとも動かない体は、まるで眠っているみたい。
癖の強い髪の毛を梳いても、抱きとめた腕に力を込めても、ただあなたは横たわるばかり。
苛立ちと焦りとやるせなさが込み上げてくる。
怒りにまかせて、精神に閉じ込めた青年に“お仕置き”しても、悲しみは消せなかった。
大切な家族がまた一人消えて、光が、途切れてしまいそう。
(あなたは、ボクらは家族だって言ってくれた。力を失ったノアは、もう家族じゃないのかな)
また、独りになってしまったら、ボクはどうなってしまうんだろう。
そしたら。
そうしたら。
「消えちゃった方が、マシだよ」
孤独は、もう、こりごりだ。
「…?ロートたま?」
「っあははは!」
髪を梳く手を止めて、家族を奪った大好きな少年に目を向けた。
お前も独りになっちゃえばいいんだ。大切な家族を奪う奴を、ボクは絶対に許さない。
「最っ高の悪夢を見せてあげるよ。アレン」
(ねえ、ボクらはただ、幸せになりたかっただけなんだよ)
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