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ただ、痛かった。
「へーすけ、ほら、休んじゃ駄目だよ」
「おら、委員長も言ってんだろ。腰上げろ」
自分が自分でなくなってしまったかのような心地だった。
すさまじい痛みと、気休めにもならない微かな快感が思考を奪う。
言うことを聞かなければ頬を張られ、押さえつけられたまま狭い後穴に男根をねじ込まれて、悲鳴を上げようとしても塞がれた口から漏れるのは呻きだけ。
人形のように扱われて、涙だけは止まらなかった。
やさしかった委員長。頼りにしていた先輩。たった先刻まで、いつもと変わらない日々があったのに。
(兵助がいけないんだよ。そんな目をしているから)
(お前の所為だろ?ところ構わず色を振りまきやがって)
わからない。わからない。俺のどこがいけなかったのだろう。
苦しい、つらい。
痛い。
尊敬、していた、のに。
( たすけて )
叫びは闇に溶けた。
気がつけば、もう月が真上に昇っていた。
ふらふらと定まらない足取りで長屋へと向かう。
好き勝手された身体は言うことを聞かず、ほとんど気力だけで動かしているようなものだった。
痛くて、苦しくて、未だ涙は止まらなかった。
腫れた頬に涙が浸みたけれど、その表情は歪むことなく、ただぽたりぽたりと溢れるだけ。
一歩、また一歩と足を進めてやっと着いた自室の床に倒れ込む。
もう、限界だった。布団を敷くこともできず、床に身体を投げ出して目を閉じた。
明日から、どんな顔をして委員会に行けばよいのだろう。
2人の目が浮かんで、背筋が凍った。
カタカタと震える体を自らの腕で抱きしめ、きつく目を閉じる。
そのまま、朝まで死んだように眠った。
これが、夢であればいいのに。嘘であればいいのに。
そう、祈りながら。
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