6
ぼんやりと窓の外を見る。
自分の髪色よりも鮮やかな青。
鈍い思考回路の中で、ああ綺麗だな、と思った。
ぐるぐると、男の、マスターの言葉が頭を巡る。
『歌うな』と男は言った。
あの日、行為が終わったあと、散々貪られたあと男は言い放った。
一瞬、何を言われたのかわからなくて。
さあっと一気に血の気が引いた身体を感じながら、目を見開いて瞳に男を映せば、にやりとまた厭らしい笑み。
『そもそも歌わせる為に買ったんじゃねえし。でもま、お前がイイコにしてたら、鼻歌くらい許してやっても良いぜ?』
呆然と、男の言葉を咀嚼する。
じゃあどうして!
(どうしてぼくを!)
そう叫びたかったけれど、どこか冷静な思考でもう悟っていた。
抵抗しても、無駄なことに。
マスターの、めいれいは、ぜったいだから。
『これからよろしくな、カイト』
縋るように見つめた先にいたのは、ただの、欲に塗れた男だった。
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