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もしも俺が普通の人間だったら、こんなに笑顔を作ることもなかったのかな。

笑うのが、つらい。
心がどこか引き攣って、痛いんだ。



恒例のお茶会、と銘打ったカウンセリング。
顔色が悪いから休め、と優しい彼女が言ったからそれに甘えてみた。


横になってから暫く寝てないな、と思った。

今更、だ。
ごろり、と寝返りを打って、開け放しの窓の外を見る。


青い空。
ずっとずっと願っていた、本物の空。

きれい。

ぼんやり目を閉じる。
少しも感じない眠気は、どうしようもないいつものこと。


しょうがないんだ。

だって俺は、化物だから。


「…龍?寝たのか?」
「むー…」
「あァ、起こしたか、悪かったね。会議に出てくる。放課後まで寝ていて構わないから、ゆっくり休め」


引かれたカーテンの向こうから彼女の声。

その穏やかな声は、とても落ち着く。

彼女の気配が完全に消えてから、いくつかの錠剤を噛み砕いた。


とても強力な睡眠導入剤。一般人にとっては、だけど。


俺にとってはほんの気休めにしかならない薬。
それでも眠れないよりはマシだからと、言い聞かせて。

作り物のまどろみに、目を閉じる。



眠る、と言う行為は好きだ。
ただ眠れない体質なだけで。

眠っている間は、笑わなくてすむから。
無理に筋肉を動かさなくてすむから。



まどろみが、心地いい。




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