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疎遠なまま時は過ぎて、同じ敷地にある付属の高校に入学も間近というころ、照は暴行された。


犯人は当時高校で生徒会補佐をしていた、一つ年上の輝慈だった。


相談できるほど気を許せる友人が居なかった照は、どうすることもできないまま、権力を盾に無理やり親衛隊隊長にさせられた。

照の意志など、まるで存在しないも同然だった。


中学生のまま高校生徒会の隊長にされた照は、学校中から注目された。どうすることもできなかった。

否定したくても、返せるだけの力をを持っていなかったから。



仲の良かったクラスメイトも離れて行って、高校に入学すれば、待っていたのは気の休まらない生活。


一般生徒には遠巻きに見られ、友人などできない。

以前からあった親衛隊は、いきなり現れた隊長を認めない。

夜は脅されて好き勝手された。安らげる場所などなかった。




一度だけ、死のうと思ったことがあった。


剃刀を手首にあてて、でも怖くてできなかった。

苦しくて、悔しくて、泣きじゃくった。


この学校を薦めた両親を恨んだ。傍にいない幼なじみを詰った。

けれど一番許せなかったのは、無力な照自身だった。



薄らと残ってしまった傷跡を、輝慈は嘲笑った。

嘲笑いながら、酷く暴力を振るわれた。

ぼろぼろの身体はすぐに意識を飛ばしたけれど、目を覚ました時に、動けない体を好き勝手むさぼられている惨めな自分を見て、照は何かが崩れる音を聞いた。


音も立てずにこぼれる涙とは裏腹に、照の唇は薄く笑みを浮かべていた。




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