4 疎遠なまま時は過ぎて、同じ敷地にある付属の高校に入学も間近というころ、照は暴行された。 犯人は当時高校で生徒会補佐をしていた、一つ年上の輝慈だった。 相談できるほど気を許せる友人が居なかった照は、どうすることもできないまま、権力を盾に無理やり親衛隊隊長にさせられた。 照の意志など、まるで存在しないも同然だった。 中学生のまま高校生徒会の隊長にされた照は、学校中から注目された。どうすることもできなかった。 否定したくても、返せるだけの力をを持っていなかったから。 仲の良かったクラスメイトも離れて行って、高校に入学すれば、待っていたのは気の休まらない生活。 一般生徒には遠巻きに見られ、友人などできない。 以前からあった親衛隊は、いきなり現れた隊長を認めない。 夜は脅されて好き勝手された。安らげる場所などなかった。 一度だけ、死のうと思ったことがあった。 剃刀を手首にあてて、でも怖くてできなかった。 苦しくて、悔しくて、泣きじゃくった。 この学校を薦めた両親を恨んだ。傍にいない幼なじみを詰った。 けれど一番許せなかったのは、無力な照自身だった。 薄らと残ってしまった傷跡を、輝慈は嘲笑った。 嘲笑いながら、酷く暴力を振るわれた。 ぼろぼろの身体はすぐに意識を飛ばしたけれど、目を覚ました時に、動けない体を好き勝手むさぼられている惨めな自分を見て、照は何かが崩れる音を聞いた。 音も立てずにこぼれる涙とは裏腹に、照の唇は薄く笑みを浮かべていた。 ←→ |