ストーリー
御尋ね者
「日本は悪いことをした国だから。ロッキード事件があったり。お尋ね者だからな」彼は彼女にそう言って煙草に火をつけて吸い始めた。
彼女は彼を見ている。
「悪い奴ばかりだ」
「今日は暑いな」
彼の名前は紺野道典(こんのみちのり)、17歳無職である。
「世の中、行政と組んで毎日が戦争だ」道典は言った。
「日本の国家国民は冷たい」夜の海を見ながら彼は言った。
「個人に不幸が訪れる」彼は言った。
「そろそろい行こうか」彼は彼女と歩いて街のホテルに戻って行った。
彼の所持金は60万円だった。
翌朝9時に彼女とホテルを出た。
「じゃね」と言って彼は彼女と別れた。
彼は駅から電車で自分のアパートに帰った。
彼は部屋で茶を飲んで休んだ。
彼は空き巣で生計を立てていた。
誰だって生活がある。
獲物を漁(あさ)るだけだ。
アホな内閣総理大臣だ。
アホな日本だ。
紺野道典、彼には生活設計がある。
外車の大型車を買い、大邸宅に住んで暮らすという。
(了)
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