短編/外伝集 はたしてそれは痴話喧嘩? 「未だに雪だるまを見ると思い出すよ。あー胸糞悪い」 「いや、あん時は悪かったって言ってるだろ!転んだらお前を巻き込むかもしれないと思ったから…」 「それよりもっと酷い目に遭ったよ!!だいたい、そーいう台詞はあの状況じゃ信憑性無いんだよ!」 「うるせぇな!あの後お前が風呂入ってる間、オレはオヤジにこっぴどく叱られたんだ!それでプラマイゼロだろ!」 「いーや、あの時の私の惨めさに比べたらそんなの屁でも無いね!おじさんには私も叱られた事あるんだから」 「それこそオレからしたら屁でもねーよ! お前、オヤジのマジ切れした顔を見たことねーだろ!俺は─」 「お前ら、そんな所で何やってんだ!!」 「げっ、オヤジ!」 ズカズカと大股で歩く男が一人。 レイズの父親だ。 「おじさん!…あ!ごめんなさい!」 「ったく、さっさと呼んでこいって言ったのによぉ。いつまで無駄口叩いてんだ…なんだ、痴話喧嘩か?あぁ?」 そう言って二人に近付くと、おもむろにデコピンを放った。 「いってぇ!」「つぅっ!」 「俺の手を煩わせた罰だ。有り難く受け取れ」 その言葉を最後に、二人に背を向けた。 「〜……!!何なんだよ、オヤジの奴…!」 父親の去った跡を睨み付けるレイズ。 ループは痛む額を押さえつつ、申し訳なさそうに告げる。 「いつつ……いや、その…実は、『これから家でパーティーするから、レイズを呼んでこい』って頼まれてたの…すっかり忘れてた…」 「なんだよ…お前のせいじゃんかよ!」 「う…ごめん…」 「…はー。ほら、行くぞ」 ループの腕を掴み、半ば強引に連れて行く。 その後、パーティーの席でちょっとした事件が起きたのは、また別のお話。 END. [*前へ] [戻る] |