短編/外伝集
ある少年の告白
「エリィ」
僕が最初に見た君は、今よりずっと小さかった。
身長の話じゃなくて、なんていうのかな。…心、っていうのかな。
君は一日一日、確実に大きくなっていってた。
「エリィ?」
僕の中の君は、話すたびにくるくる変わっていく。
自分のことをからっぽだと言っていた君は、色々な人達と関わって、どんどん変わっていく。
「…エリィ」
僕、あんな風に偉そうに言ったけど…。
ごめんね。僕もきっと、自分のやりたいことをようやく見つけられたんだ。
だから、ね。急がなくていいんだよ。
「エリィ!」
十六年でようやく見つけられた、僕のやりたいこと。したいこと。
…僕は、強くなりたいんだ。
もっとみんなの役に立ちたい、胸を張ってみんなの仲間だって言いたい。
「…ねえ…」
これからもずっと、みんなといられるように。
心も、身体も、強くなるんだ。
「……ありがとう」
そう思えるようになったきっかけは、きっと君のお陰だよ。
君と出逢って、君と話して、いつしか僕は君の背中を追いかけるようになって。
「………エリィ」
これからも、僕は君と一緒にいたい。
そうして、いつかは…。
「……行かないで…」
――…いつかは、君を追い越して。君を守れるぐらい、強くなるよ。
だから、見てて欲しいんだ。
End.
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