短編/外伝集
告白します!
――来た。
月桂樹の木の下へ…ロックが、やって来た。
イメリアは固唾を飲んで、数日間ずっと考えていた告白の口上を反芻する。
(い、いままてずっととあなあなたがすすきでしたたあああダメ!!)
緊張のあまり心の中でも噛み噛みな自分に内心頭を抱えつつ、走り寄ってくるロックを待つ。
「はあ、は…ごめんね、待たせちゃった」
「い、いえっ、わ、私も今来た所ですから!!」
実は待ち合わせていた時間より一時間早くからいたのだが。
そんな事より、イメリアは密かに憧れのデート的やり取り『ごめん、待った?』『いや、今来た所』が出来たのを喜んでいた。
「イメリア、今日はどうしたの?」
「うっ…あ、う、えっと、その…」
「最近、何だかぼうっとしてたり頭抱えたり急に走り出したりしてたけど…悩みでもあるの?」
「…」
客観的に見て、かなり奇行を繰り返していたらしい。イメリアは恥ずかしさで閉口する。
が、いつまでも黙っている訳にはいかない。
明日葉が相談に乗ってくれ、応援してくれた。短冊にも飾って、きっと織姫と彦星も応援してくれている。
(勇気を、出さなくちゃ…!)
イメリアはロックに向き直り、口を開いた。
「ろ…ロック、さん」
「ん? なに、イメリア」
「わ、わわわ私、ろ、ロックさんの…こと…!!」
言える言える言える絶対言える勇気出せ頑張れ自分やれやれ言え言え言ってしまえ!
心の声が自分を鼓舞してくる。そうだ、言うのだ。言ってしまうのだ!!
「い、いままで…ずっと…私……!!」
口を思いっきり開けて。叫ぶようにして、言った。
「す、すすっ! す、すき…でした…っ!!!」
……間。
「…え?」
ロックが目を見開く。何を言っているのか理解出来ていないといった様子だ。
その反応は、彼が自分の事をそういう対象として見ていなかったという何よりの証拠に見えて。イメリアは知らず俯いていた。
「イメリア…」
茫然としたロックの呟きは小さく。イメリアは彼の顔を見れない。
「…そ…っか。そう…だったんだね」
でも、言えた。ずっと言えないと思っていた気持ちを、伝える事が出来た。きっとこれで、良かったんだ…。
「…イメリア。顔、上げて」
「っ、は…はい…」
ロックの表情は真剣そのもので。振ろうとしている相手にも真摯に対応しようとしている彼に、好きになった人が彼で良かったな、とイメリアは思っていた。
「イメリアがそんな大事なことを言おうとしてたなんて…今まで、それで悩んでたんだね」
「…はい」
「ごめんね、今まで気付かなくて…僕、ホントに鈍かったね。シングやセイルの言ってた通りだった」
「いえっ、ロックさんが謝るようなことは…何もないです…!」
しかしロックは、重ねてごめん、と告げて。
「イメリアが、ススキだったなんて…知らなかった。今まで気付かなくて、本当にごめんね」
……間。
「……へ?」
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