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element story ―天翔るキセキ―
はじめまして


「…はじ、め、まして。わたし、エリィ。…よろ…しく?」
シングがリーダーを努めるチーム『キサラギ』は、前日人智では計り知れない出来事と遭遇した。
虹色のエレメントクリスタル、その中で眠っていた少女エリィ。
エレメントクリスタルが砕けた後も、ペンダントとしてエリィが持ち続けているエレメントロック。
そして…一部の者しか存在を知らない、あの石碑の欠片のようなもの。
ロックやシング、ヴァルトルなども、誰もがこれらの謎に首を傾げるばかりだった。

「よろしく。オレはシング。シング・レヴァウナーだ」
今このチームキサラギは、ロックの頼みでメンバー全員が彼の部屋に集まっている。
何故かと聞けば、今日はエリィとともにギルド内を練り歩き、エリィにギルドメンバー全員と挨拶をさせる為だとか。
まずはロックも気心の知れたチームの仲間達からだ。
彼等は恐らくロックの次にエリィと多く付き合う事になるだろう。

シングはエリィに向かって手を差し出した。が、エリィは助けを求めるかのように隣のロックを見やる。
「教えたでしょ、エリィ。握手」
「手をだして…にぎる?」
「そう、それ」
そろそろエリィが手を伸ばし、シングの手をやんわりと握りしめた。
「…よろ…しく」
「うん、よろしくな」
戸惑いの表情を見せるエリィの緊張をほぐすように、シングはにっこりと笑った。
「エリィ、ほら」
「あの…シング。きのうは…パン、ありがとう。おいしかった」
「どういたしまして」
「偉いよエリィ、ちゃんと言えたね」
言って、ロックはエリィの頭をそっと撫でた。
エリィは撫でられつつロックに視線を送った。何か言いたげだ。
それに気付かないロックは、他のメンバーを見回す。

「じゃあ、次は…」
「エリィ!リピート・テルクェードですな!よろしくですな〜っ!」
ロックの言葉を遮り、飛びかからんばかりにエリィに目の前に出て来たのはリピートだった。
リピートは自らエリィの手を取り、ぶんぶんと思いっきり上下に振る。
「ちょっとリピート!エリィ驚いてるじゃないか」
「はれ?そうですな?…それはそれは失礼したですな。ごめんですな」
「…ちょっと、びっくりした」
リピートは手を離し、軽く頭を下げた。
エリィはほっと胸を撫で下ろす。

「リピート、嬉しかったんですな!後輩が出来た気分ですなっ」
声を弾ませるリピートは、その場でぴょんぴょんと跳ねた。
それに伴って、高く括った二つの髪束もデタラメな方向へあちこちに飛び跳ねている。
「…こうはい?」
「リピートはこのギルドメンバーの中で一番年下だからか、お姉ちゃんとか先輩って立場に憧れてたみたいなんだ」
「誰からも妹みたいに可愛いがられるってのも悪くないと思うけどな」
疑問符を浮かべるエリィにロックは説明する。

「いい加減に止まれ」
そうしている間も飛び跳ねているリピートに歩み寄り、セイルは軽く肩を叩いて制した。
「あたっ!い、いたいですな!セイルは加減を知らないですなっ!」
「適当な事を言うな…」
大袈裟に右肩を押さえるリピートにセイルは呆れた様子だ。


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あきゅろす。
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