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element story ―天翔るキセキ―




ロック達はヴァルトルとともに、東ギルドへと帰還した。
リーブの件含め、ギルドメンバー全員に話さなければいけない事があったからだ。


(僕自身の事も、エリィの事も。…きっと、話さなきゃいけない…よね)


――…響界からここに帰ってくるまで、ロックはずっと迷っていた。自分達の詳しい出自について、ギルドの人間にもしっかりと話しておくべきかどうか。

『その方が、話の信憑性は出るだろうけどな…』

ヴァルトルは歯切れ悪く、最終的な判断はロックやエリィ自身に任せると言っていた。

虹色のエレメントロックの真実、ロックやエリィの真実。それらを話さなければ、ギルドメンバーはこれからの響界・ギルド全体の行動理由が不可解に思えるだろう。


集魔導祭は、一週間後に開催する事が決定された。それはなぜか。

――…リーブが響界の地下牢に捕らえられた事を知った、彼の協力者達を誘い出す為だ。

リーブの真面目な性格からして、恐らくは協力者達と頻繁に連絡を取り合っていただろう。
ならば、その連絡が突然途絶えてしまったら?
…彼の協力者達からすれば、『どうしても連絡が出来ない状況に陥った』と判断出来るだろう。

そんな折、響界が例年より遅れて集魔導祭の開催を発表する――。


『タイガがいるなら、すぐに推測出来るだろうな。……俺達が、罠に嵌めようとしている事も』

会議中、ヴァルトルはそう言っていた。
その言葉は実際に口にしたヴァルトルだけではなく、ランジェル達も表情を曇らせる。ロックも同様だ。


リーブと関わりが深いだろうアッシュがいれば、彼の性格から連絡が無くなった事に疑問を抱くだろう。
そして、元々響界に所属していたオブシディアンやベリルがいれば、リーブが捕らえられているだろう場所に目星がつけられる筈。


――…つまり、この作戦――集魔導祭は、確実にリーブの協力者達をおびき寄せる為につくられた餌だという事だ。



「――…全員揃ってるな」

そして時間は現在へ。ヴァルトルは大広間にギルドメンバーを召集し、全てを話した。ロックやエリィについても、洗いざらい、全てを。


「……どういう事だよ…」
「ワケわかんねぇ…」
「つまり、その…え…? 私達、どうすればいいの…?」

やはりというべきか。人々は皆一様に困惑していた。誰かひとりが戸惑いの声を上げれば、何人もがそれに追従してしまう程に。

「静かにしろ!」

そうして声がどんどん大きくなっていくのを一喝し止めたのは、やはりヴァルトルであった。


「……確かに、戸惑うのは分かる。俺を始め、他のギルドマスター達も最初は俄には信じられなかったんだからな。

――だが、よく考えてみろ。もし、ロック達の言っている事が本当だったなら。二人が持っている虹色のエレメントロックについても説明がつく」

ヴァルトル達とは違い、ギルドメンバーの中にはロックをよく思わない人間ばかりだ。だから、理論的に説得しなければいけない。

ヴァルトルは理論立てて説明する事などは苦手だが、ナイクやランジェルなどに協力を仰ぎ、そして苦手なりに考えて説得の光明を見出したのだ。



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