[携帯モード] [URL送信]

element story ―天翔るキセキ―
先頭は苦手

「…ごめん。…よく、わからない」
「…そう」
本当に解らない、申し訳ないといった様子のエリィ。それ以上追求した所で答えは得られないとアリアは判断し、会話を打ち切った。

「んじゃ、そろそろ行くか」
シングの呼びかけに、リピートは途端に顔を青くする。

「ううー…山道は怖いですな。狭いし、転んだら痛いし、万が一高い所から落ちたら…ひぇえええ…!!」
「一人で勝手に縁起の悪い妄想するな、馬鹿が」
「なーっ!! 何ですな何ですなセイル! 薄情にも程があるですなッ!」
「ああもう、喧嘩は無しだナシ! セイルもそう冷たく突き放すなよな!」

放って置くといつまでも場が停滞するので、シングが二人の間に割って入る。リピートはセイルを睨み、セイルは不満げな視線をシングに向けた。が、シングとしてはその視線はお前等二人に向けたいといった気持ちだろう。

「いいか、目的地はこの山の頂上にある、土のエレメントクリスタルの群生地だ。エレメントの濃い場所は魔物が現れる確率も高くなるから心するよーに! 道は狭いから一列に並んで行くぞ!」

シングはそう言いながら皆を見回し、どういう順番で並ぶかをてきぱき指示する。

「魔物が出た時の事を考えて…唯一剣を使えるロックが先頭だな。風の魔術が使えるリピートとエリィが二番目と最後尾…」

魔物とは濃度の高いエレメントが変異したもので、元のエレメントの属性に耐性を持つ。
ここは土のエレメントクリスタルの影響で、魔物が現れるとすれば土属性に耐性を持っているものが必然的に多くなるだろう。

「となると…セイル。お前は三番目で、戦闘ではサポートに徹してくれ」
「…ああ」
パーソナルエレメントが土属性であり、自身も土属性の魔術を得意とするセイルは、今回は攻撃面では不利になる。
また、アリアが得意とする水属性も土属性に弱い為、それをよく鑑みてシングはその二人を真ん中に据えた。

そして、土属性の弱点が風属性。それを得意とするのがリピートであり、またエリィはオールマイティーに魔術を扱える為に、それぞれ前と後ろに配置。


「んし。じゃあ出発だ!」
「う、うん!」

最終的に、先頭がロック、次に前からリピート、セイル、アリア、シング、エリィという順番になった。
先頭を歩く事になったロックは、多少緊張しつつ歩き出す。今までも隊列の関係で先頭を歩く事は何度かあったが、どうにも慣れない。
性格的な問題か、ロックとしては先頭を歩くのではなく、後ろでついて行く方が落ち着くのだ。



[*前へ][次へ#]

10/40ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!