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未来へのプレリュード



迷っている内にカロレス達が出掛ける時刻になってしまった。
八人は屋敷の門前に集まり、一人一人別れの言葉を交わしていた。

「それじゃあ、行ってくるよ」
「あ…ま、待って!!」
勇気を振り絞り、カロレス達に駆け寄る翠。
「翠、どうしたの?」
「そっ、その……わ、私、」
…突如、首と鎖骨辺りに感じる違和感と、足元に何かが落ちたような音。
見てみると、其処には今まで翠が肌身離さず身に付けていた赤い宝石のペンダントが落ちていた。
拾い上げて気付く。どうやらペンダントの鎖が切れ、バラバラになってしまったようだ。
「…そんな…」
このペンダントは翠が小さい頃から身に付けていたものだった。
父から大切にしなさいと誕生日に譲り受けた物で、それはそれは丁寧に扱っていた。
鎖の手入れもちゃんとしていたし、腐食したような形跡も無かったというのに…。

自分は魔術師が得意とするような修復魔法は使えない。
二人合わせれば他の誰よりも魔力が高いスキルとレイサーも、ここまでバラバラになってしまっていたら二人の力を合わせても…と口を閉ざしてしまう。



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あきゅろす。
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