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未来へのプレリュード
歌姫インタビュー

『今を輝く人気アイドル!歌姫レナちゃんに突撃インタビューだぁぁああああ!』
一階のリビングから聞こえるやかましい声。
寝ぼけ眼を擦りながら部屋を出たレナシスにとって、それは騒音以外の何物でもなかった(その騒音のお陰で目は覚めたが)。

「ちょっとぉ!うるさいんだけど!」
言いながら階段を降り、リビングに行ってみると何と!愛しの夜宵が居ないではないかっ!
「夜宵!!何処行ったのー!?」
「レナシス、お早う」
「おはようレナシス君。…寝坊だよ?」
「夜宵はさっき翠と一緒に朝市に出掛けちゃったよ…」
月に一度、食材が安く売られる朝市の為、翠と夜宵は早くから出掛けてしまっていた。
スキル達は二人を見送る為に何時もより早く起きていたのだが、レナシスだけはいくら起こしても起きなかったのだ。
「夜宵さん、レナシス君のこと揺すって起こしてたんだけどね…」
「うっそぉ?!そんなぁあああっ!」
「……レナシスが一番うるさいんだけど」
頭を抱えて嘆くレナシスに、塑羅はボソッと呟いた。
…普段は此処で口喧嘩になるのだが…。

「うぅぅ…ボクが…夜宵が起こしてくれてるのに起きられないなんて……」
…部屋の隅でいじけていた。

『…そうですね…、あの歌は、わたしにとって大切な…ある人との出会いを歌詞にしたんです』
静かになった部屋に、テレビの音声が響く。
テレビに映っていたのは、ここ最近世界中で人気を博している歌姫レナだった。
スキルは先程からテレビの前で食い入るように画面を見つめている。
自然とレイサー達の視線もテレビに注がれた。

『ある人!!意味深だねえ!もしかして…彼氏かいっ!?』
『いえ、そういうんじゃないんですけど……、もしその人に逢っていなかったら…今のわたしは無いんです』
『うぉぉおおお!気になるぅ!!…え?もう時間?そんなぁ!…仕方ない。このお話はまた今度ということで!』
『今日はありがとうございます。また今度、お話出来る日を楽しみにしていますね』
『私も楽しみにしていますよっ!それでは、歌姫レナちゃんの突撃インタビューでした〜!!』

生中継が終わり、スタジオに切り替わる。
その後は他愛も無いニュースを放送し、番組は終了した。

「〜〜っ……やっぱりボク、歌姫レナ好きだな!会ってみたいよー!」
スキルは数ヶ月前から歌姫レナを気に入っており、彼女が出演するテレビ番組は欠かさず見る程だ。
余韻を噛み締めるように声を上げるスキルとは対照的に、何時の間にやら復活したレナシスは言う。

「ボクはあんま好きじゃないね。な〜んかいい子ぶってるように見えるしぃ。何より名前が!!」
スキル以外のメンバーも歌姫レナの歌を気に入っているため(もしくはテレビ番組に興味が無いため)、スキルが番組を見ることに基本的に異議を唱えない。
が、唯一レナシスは歌姫レナを嫌っており、彼女が出演する番組を見たがらない。



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