未来へのプレリュード これからも、ずっと。 妹が完全に見えなくなってから、レナシスは漸く解放された。 武器化を解いたレナシスは地面に手を付き、うなだれる。 ──ちゃんとした『自分』が有る癖に──…。 妹の残した言葉のひとつは、レナシスが夜宵に伝えたい想いでもあった。 夜宵は夜宵じゃないか。夜宵にだって感情が有るじゃないか。 夜宵は、ヒトと同じじゃないかって…。 「……レナシス」 うなだれるレナシスの後ろに立ち、再び夜宵は話し掛ける。 レナシスの様子がおかしかった理由が、今になって解った気がした。 居たじゃないか。ずっと、ずっと昔から。 『自分』のことを、見てくれていたヒトが。 『自分』を『自分』としてくれていたヒトが──…。 「レナシス。…私、これから…頑張りますから」 まだまだ解らない感情、解らない『自分』、沢山有るけれど。 少しずつでも、それらを理解していきたい。 その為に、頑張っていきたい。 「…やよい。……うん。…解った」 ──ボク、これからもずっと、夜宵のこと見てるから。 夜宵の決意を聞いたレナシスは、普段と変わらない笑顔を浮かべたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |