海の青と月の気持ち
耳そうじ
頭を傾け耳のあたりを叩きながら不機嫌そうに歩くジョズを見つけ、ゆぅが声をかける
「どーしたの?」
「何か耳に入っててな、取れねーんだ」
「見てあげよーか?」
「あぁ、悪いな」
甲板の隅に陣取ったゆぅは、ジョズの頭をあぐらをかいた足の上に乗せ、まじめな顔で覗きこむ
「うーん、よく見えないけど....取ってあげる」
「見えないのにどうやって取るんだ?」
そばにいる割には被害を受ける事の少ないジョズだが、今は自分1人とあって、少々声に焦りの色が出る
「洗っちゃえばいいじゃん♪」
「は?洗うって...」
言っている間に、耳の中に冷たい感触が広がる
「ほら、取れた。虫が入ってたんだよ。そりゃ気になるよねー」
見ると、5cmくらいの水の玉に虫が捕らえられている
「お前、どうやった?」
ん?こう、と水の玉から細く綿棒のように水を伸ばす
「ジョズは能力者だからねぇ。あんまり海水に触れない方がいいでしょ?」
「あぁ、そうだな。ありがとよ」
すると、大きな声がこちらへ走ってやってくる
「ずりぃぞ、ジョズ!何やってんだ、その体勢はっ!ゆぅ、俺にもやってくれ!」
「耳のゴミを取ってあげたんだよ?サッチも、耳が変なの?」
「おぉ、そうだ!たぶん耳とかだ」
「サッチなら耳だけじゃなくて全部キレイに洗ってあげるよ?」
「え?おま、それって、え?」
――全部って言ったよな?全部ってことは全部だから、全部なんだよな?
アタフタするサッチを見て、ゆぅは笑いながら「どうする?」と聞いている
「ど、どうするって、いやぁ言ってみるもんだなぁ。へへへっ」
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