海の青と月の気持ち ex.1 いい宝 夏の短い夜が過ぎようとしている 「サッチ、眠いなら寝ればいいのに」 「カワイー妹が起きてんのに、先に寝れるかぁ〜」 「はいはい」 空になった樽にもたれ掛かり、ウトウトしながら返事をするサッチの頭をナデナデするゆぅ 「世話の焼ける兄貴だな」 「ジョズは世話を焼いてくれるお兄ちゃんなのにね」 「じゃあ、ソイツを部屋に運んでやってくれよい」 「世話を焼くのは妹限定だ。男は知らん、勝手にどこでも寝とけ」 クスクス笑いながらゆぅは二人のやり取りを見ている 「たくさんのお兄ちゃんに愛されて、アタシ幸せね」 これまでも、数多くの「仲間」と海を渡ってきた…頼り頼られ困難も財宝も分け合い、笑い合ってきた だが、呼び方が「家族」に変わると、こんなに気持ちが落ち着くとは…… 「家族か…ニューゲートはいい宝を見つけたわね」 マルコとジョズがさも嬉しそうな笑顔をゆぅに向ける 「妹も父上も母上もアタシ大好きだったし、みんなもアタシを愛してくれてた…いい事思い出せたかも。フフ」 フワリとした笑顔を浮かべるゆぅ 「父上ってタマか、お前」 「もぅ、台なし〜、寝てなさいってば、お兄様!」 「けっ、どこのお姫様だっちゅーの」 「忘れるくらい昔のねっ!島だけなら今もあるから、いつかアンタ達も行くんじゃない?…ホント、サッチの冗談って時々鋭い所ついてくるよね?」 「「えっ?」」 [*前へ][次へ#] [戻る] |