海の青と月の気持ち 〜 JOKER
樽との遭遇
ゴツッ
海の中から浮上してきた大きな物体と海の上をプカプカと漂っていた小さなモノ
このだだっ広い海で奇跡的な遭遇
先ほどまでポツンと樽の浮いていたそこには船が浮かんでおり、樽はと言えば、その甲板の上に立っている....転がりもせずに
船内から出てきた者達は、あまりにも当然のように存在する樽に、今まで潜水していたことなど忘れそうになる
「あれぇ?樽なんか置いてたっけ?」
「バカ、今出てきたとこだろっ!さっきの音はコレかよ」
「誰かが置いてったのかなぁ?」
そんなはずなかろうと思いながら、不審過ぎるこの樽を遠巻きに眺めている
遅れて甲板に現れた人物に注目が集まる
「あ、キャプテ〜ン!なんかね、樽が置いてあったよぉ?」
「捨てろ」
「え〜?いいものが入ってるかも....」
無邪気な白熊の発言は、キャプテンと呼んだ男の一睨みで止まってしまった
「捨てろ、ベポ」
「...アイアイ、キャプテン」
白熊....ベポはトボトボと樽に近づいていく。他の者達は固唾をのんで構えている
「ねぇ、キャプテン!なんかマークが描いてある!どこの海賊だっけ、コレ?」
ぐるりとマークを皆の方へ向けるが、触るな、離れろ、早く戻ってこい、とこちら側は大騒ぎである
白熊だけにわかりにくい思案顔をしてブツブツ言いながらベポはこちらに戻ってくる
「でも、あのマーク見たことあるよ?鳥の名前に似てる人....白鳥じゃなくって、孔雀じゃなくって....なんだっけ?」
樽に何の変化もなさそうなのを確認すると、男達はそのマークに目を凝らす
「あれは....!」
「チッ、厄介なもん拾いやがって」
あのマークを掲げた男が七武海に加わったと新聞で見たのは先週ではなかったか...
―― ドンキホーテ・ドフラミンゴ
不意にきた大波で船が大きく揺れる。樽も大きく傾きバタリと倒れると蓋が外れる
ビクッとするクルー達だが、蓋の開いた口は横を向いていて、中を伺う事はできない
「あとね、ほら。マークの反対側にゆぅって書いてあったよ!女の子の名前みたいだよね」
ベポが話しかけた相手は、視線を樽から離すことなく敵を見据えるような面持ちで、目の隈がさらに濃く見えるようだった
「だからって女が入ってるわけ.....」
「いっっったあいっ!」
女の声が甲板に響いた.....
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