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海の青と月の気持ち 〜 JOKER
5メートル先の軍艦
ドーン、ドーンと大きな音がして、軍艦から大砲が撃たれる。まだ射程距離に入る前だが、急に彼らに向いたドフラミンゴ達への先制攻撃のつもりなのだろう



急速に回頭したために起こった横揺れがなくなると、船はスルスルと軍艦へ向けて走り出した


躊躇することなく、むしろスピードは上がる一方だ



思わず舵に手が伸びるセバスチャン

が、伸ばされた手は舵の手前で止められ、そのまま後ろへと後ずさりさせられる


「ドフラミンゴ様!」

「イタズラするんじゃねェ」

「しかし!」

「これで沈んだり捕まったりするようなら、その程度だっただけのことだ。まぁ、ゆぅの乗った船が沈んだことはねぇんだ、こっちは気にするな。乗りこんでくるバカな海兵どもを海に叩き落とせ」



尋常ではないスピードで太陽を背にして向かってくるドフラミンゴの船に、海軍の砲撃手は照準を定めきれない


――ぶつかるに違いない
――そこで一気に乗り組んで捕らえる

先頭の軍艦のそんな作戦は、5メートル手前からすっと向きを変え、その距離を保ったまま横をすり抜けていく船に、完全に出しぬかれる形となった


その後ろにある2隻のうち、北側の船は全く関与できない位置にあるので、ドフラミンゴ達は南側の1隻と後ろから撃ってくる先頭の軍艦に応戦していた


2隻目の船をすり抜ける頃に、小さめの船が現れ並走を始める...が、そちらの船は不意に起きた逆流に、なかなか進むことができない


他の3隻の軍艦もドフラミンゴの船と逆の方へ流されていく。急激に起こったこちらの海流のせいで、すぐ横の海域に逆向きの海流が発生したようだ



向きを変える事すらままならぬ軍艦4隻を尻目に、ドフラミンゴの船は東の夜の闇へと消えていった




海流が静かになり、船の進みが穏やかになる


「一体、あの方は....」


「一流の航海士はどんな海流でも捕まえられるんだろう?だが、アイツは海流を作り出すことができる。アイツは海そのものだからな」


「ひどいっ!アタシは人間よっ!他の誰がなんて言っても、ドフラミンゴはそう言ってくんなきゃヤダ!」


ゆぅは音もなく、2人の後ろに帰って来ていた



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