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海の青と月の気持ち 〜 JOKER
観戦
打ち合う2人にオロオロしていると、船室からサンジが出てくる


「ナミさ〜ん、ビビちゃ〜ん、ゆぅ〜!冷たい飲み物を持ってきたよ〜」


「サンジくん。それどころじゃないのよ、ゆぅとゾロが!」


ん?と目を向けると、二刀流のゾロに長剣で応戦しているゆぅの姿が目に入る


「あー。大丈夫だろ」


「え?『レディーに何してやがるっ!』とか、怒りだすのかと思ってたぜ」


「ヘナチョコマリモごとき、ゆぅなら目を瞑ってても問題ねぇ」


「そうだな、アイツは強ェからな」


「ちょっとアンタたち。何なのよ、その余裕は?」


「うーん、何だか分かっちまうんだよなぁ。とにかくゆぅは大丈夫さ」


「サンジくん?いつの間に、『ゆぅちゃん』から『ゆぅ』って呼び捨てになったの?」


「もしかして、ゆうべ何かあったんですか?」


観戦よりも関心の高い話題に目をキラキラとさせるナミとビビに、サンジはフッと優しい目をゆぅに向ける


「いやぁ、それは2人の秘密にさせてもらうよ」


「おいおい、お前らそんな呑気な話してる場合かよ!」


改めてゾロとゆぅを見るが......





「いいんじゃない?なんか楽しそうだし」


「本気なのに殺伐としてないって、なんだか不思議な感じですね」


「どっちかが怪我をしてもオレがちゃんと手当てしてやるぞ。もちろん、怪我なんかしない方がいいけど」


「お2人は冷たいハーブティーでも飲みながら観戦してください」


「じゃ、ゆぅの分おれにくれよ」


「....まぁ、いっか。おい、お前ら!メリーに傷を付けんじゃねぇぞぉっ!」





打ち合いながらゾロが声をかける


「やるじゃねェか」


「まぁねぇ。力任せに刀を振るって、船に傷をつけたらダメよ?」


「俺達の船だ。てめぇこそ、ぶっ壊しやがったら承知しねェからな」


「フフッ、やっとまともに会話したわね」




しばらく刀を交えていると、ゆぅが眉を寄せる


「ゾロ、ちょっとゴメン。気持ち、悪い」


ハァ?と言った瞬間、ゾロが船首に弾き飛ばされる


突然の事に、観客達も飛ばされたゾロも何が起こったのか、わけが分からない。一方のゆぅはそのまま船縁へと駆けていく


後ろへ大きく振りかぶると、ゆぅは船縁に飛びあがり叩きつけるように剣を振る....ギュイーンと高い音が鳴り、大きな斬撃が海面すれすれを飛んでいく


着水した斬撃はそのまま海に切れ目を入れながら飛び続け、彼方で大きく弾ける


「すっげぇ!海まで割れんのか、ゆぅ!ホントに強ェんだな」


パチパチと手を叩いて喜ぶルフィ


その声に答えることなく、ゆぅは小さな斬撃をいくつも飛ばし始める。あちらから飛んでくる斬撃とぶつかりあっては消えていく


「ちょっ!数が多い!ゾロ手伝って!」


「手伝うってどーすんだっ!あっちの方にとりあえず飛ばしゃぁいいのかっ?」


「コントロールはアタシがするから!とにかく数をたくさんお願い!」


ゆぅの掌から細い糸のような鎖がいくつも出て、ゾロの上半身に巻きつく


「おい、何だこりゃぁ?」


「補佐するだけだからっ!気にせず、撃ってちょうだい。もう、アタシだけじゃ!」


言われるままに、左右の刀から次々とそちらの方へ斬撃を放つゾロ。絡みつく鎖は邪魔になるどころか、体の動きを軽くしているようだった




斬撃と水しぶきの中、こちらにやってくる船とその上の人物に、ゾロは驚きの声を上げる


「おい、アイツ....!」


「ごめんね、わけ分かんない男に船、襲われちゃって。アレ、アタシのストーカーなのっ!」


「「はぁぁぁっ?」」


声の上がった甲板にヒラリと黒い影が舞い下りた





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