海の青と月の気持ち 〜 JOKER
勧誘
「みんなが笑顔になったところで、このお話はおしまい!さぁ、飲もうっ」
ゆぅは笑って、次の瓶を開け始めた
「なぁ、どうしてゆぅはそんなにたくさん酒瓶ぶら下げてんだ?」
「船に乗ってるのに、飲まないなんてありえないでしょ?これは、くれはちゃんにもらったの」
「ドクトリーヌが?」
皆、信じられないと言った顔で見ている
「うん。持てるだけの酒瓶くれたわよ?ベリー全部上げたから」
「「ベリー全部!?」」
「財産の半分なんて面倒くさいこと言うんだもん。いいの、ベリーは邪魔だから。必要になったら宝石を換金すればいいだけだし」
あっけらかんとして言うゆぅに、開いた口が塞がらない
「アタシはお酒さえ買えればいいんだから、ベリーはそんなにいらないの。宝石ならまだわりと残ってるし、多分全然、半分じゃないわね」
「ちなみに、彼女にいくらあげたのかしら?」
「よくわかんないけど....あぁ、ちょうどナミが持ってるジョッキに山盛りくらいよ」
「ゆぅお姉さまと呼んでもいいかしらぁ?」
予想以上の答えが返ってきて、尋ねたナミの目はベリーになっている
「ウフフ、『ねぇさま』でなければいいわよ。お宝を集めるのが夢なの?意外と海賊らしいわね」
「ううん、アタシは自分の目で見た世界地図を書くのよ。それには色々と....ね?」
「コイツは仲間になるまで、海賊専門の泥棒だったんだぜ?」
チクッたウソップがナミのゲンコツで沈む
「別にいいじゃない、そのくらい。ねぇルフィ?ナミを連れてっちゃだめ?」
「当たり前だ!ナミはうちの航海士だ!」
「えー、せっかく優秀でカワイイ子を見つけたと思ったのに....ねぇ、ナミ?アタシと来れば世界中どこにだって行けるわよ?」
「でも、ゆぅと一緒じゃサーフボードになるんでしょ?やっぱり遠慮しておくわ」
「そう。ホント、残念。あ、でもこんなカワイイ子連れてって、あの人がイタズラしても困るもんねぇ」
「あの人?ゆぅの彼氏とか?」
グリグリと肘でゆぅをつつきながらニヤニヤするナミに、ゆぅは驚きを隠せない
「よくわかったわね?今アタシ、あの人を探してるのよ」
一人、甲板に手を付き落胆するサンジには誰も目もくれず。ナミは自分の首もとを指す
「それ。飼い猫につける首輪に見えなくもないわよ?それに『あの人』って言う時、すごくいい顔してるもの」
すっかり存在を忘れていたチョーカーに手をやるゆぅ。いつからだろう、この鈴が鳴らなくなったのは
名前を口にすると鳴っていた気がする。アタシが名前を忘れちゃったから?....でも
「アタシ、これの事忘れてた。あの人からのプレゼントなの。思い出させてくれてありがと、ナミ。お礼にあなたの髪と同じ色の宝石をあげる」
ナミの手に乗せられた卵ほどの大きさのそれは、透き通った濃いオレンジ色をしている
「キレイね....なんだかあったかいし」
「あったかいのは、相性がいいってことよ。マンダリンガーネット。秋の実りを象徴する石で、お金回りがよくなると言われてるの」
「まさにナミって感じじゃねぇか」
ウソップの野次も聞こえないほどに見入っているナミをみてゆぅは満足そうに微笑んだ
「アタシ、やっぱりゆぅと行こうかしら」
ルフィとサンジが必死の説得を始めるが、聞いているのかいないのか
慌てふためくチョッパーを宥めるウソップ
結局、サーフボードでは海図が描けないわよと言ったゆぅの一言で、ナミはメリー号に残ることにした
ゆぅとナミが顔を見合わせて、悪戯っ子のようにニヤリとするのを見て、ビビはクスクスと笑った
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