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海の青と月の気持ち 〜 JOKER
憧れの方
一陣の風がゆぅの髪を舞い上げ、それを払うように顔を動かした時、ビビが息を飲んだ


「....私もルフィさんの言ってる事は間違いじゃないと思います。乗せて差し上げてください」


「ビビちゃんの知り合いかい?」


「いえ、話に聞いただけですが、多分」


ビビに向いていた一同の視線がゆぅに移ると、ゆぅは先ほどとは打って変わった冷たい目でビビを見ている


「アナタ、一体、誰?」


「アラバスタ王国の王女、ネフェルタリ・ビビと申します。我が国には王族にのみ語り継がれる海の姫君のおとぎ話があるのです」


「ちょっと、ビビ!そんな素性を明かしちゃって大丈夫なの?しかもおとぎ話って....」


「アラバスタ....ネフェルタリ....あぁ!」


しばらく記憶を探るように眉を寄せて考えていたゆぅは、思い当るところがあったのか、表情を柔らかいものに戻した


「ごめんね、ビビちゃん。普通は知らないはずだから。でも、良く分かったわね?」


「一瞬、夕日で瞳が紅く染まったので。それに、幼いころ、海の姫君は憧れの方でした」


「子供に聞かせるような話じゃないのに」


困ったように笑うゆぅ


「子供のころは10歳のお披露目までで、最後まで聞いたのは最近ですから」


「まぁ、おとぎ話なら、だいぶまろやかになってるでしょうしね」


ニコニコと話す2人にルフィが割って入る


「なぁ、ソイツに乗せてくれよー」


「残念だけど、大波に飲まれてすぐにドボンよ。特にアナタは能力者でしょ?」


「お前だけずりぃじゃねぇかよー」


「しょうがないじゃない。この子たちがアタシのサーフボード壊しちゃったんだから」


「サーフボードって....」


ナミとウソップは開いた口が塞がらなかった


「あ、もしかして!くれはちゃんちのトナカイ?」


突然、指をさされビクッとしたチョッパーだったが、くれはの名を出され様子をうかがっている


「昨日、アナタの島の桜を見たの。とっても素敵な桜ねっ!」


「っ!だろう?あれはドクターが作って、ドクトリーヌが見せてくれたんだ」


「そう、くれはちゃんが!そうだ、あの桜ってあったかい桜よね?」


「あったかい....うん、そうだな!お前、いいこと言うな!ルフィの言うとおり、いいヤツだ!」


「おい、いつまでレディーをそんなところに立たせておくつもりだ?」


「そーね、ビビもこう言ってるんだし」


「そーだ、さっさと乗れよ!サンジ、今日は宴だぞ!」


「ああ、任せておけ」


「それじゃ、よろしくね!」


ニコニコとしてフワリと甲板へ飛び移るゆぅを、ただ一人ゾロだけは鋭い眼差しで見ていた





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