海の青と月の気持ち 〜 JOKER
超特別
ルージュがボートをイカダの横に寄せると、再びロジャーはボートを揺れないように抑えてやる。そっと巻物に手を伸ばすルージュ
「許さないって言ったわよ」
手が触れる直前で、目を閉じたまま発したゆぅの冷たい声に動きの止まるルージュ。恐怖で息がつまり、呼吸すらどうやっていたのか分からない。それでもどうにか息を吐き出すと、巻物をその手に掴んだ
ゆぅは飛び起きるや否や、片足をボートの縁にかけ、ルージュの胸倉をつかみ引き寄せる
「ゆぅ!...ぐっ!」
声を上げたロジャーの首にゆぅの鎖が絡みついて締め上げる
「さっさとその手を離せ。今ならこの男の首だけで許してやる」
「ロジャー!」
涙を浮かべながらも、ルージュは巻物を握りしめたまま、必死に考える....このまま手を離しても、ロジャーは助からない。ゆぅは、本気....
「....ふっ、仲良くあの世への新婚旅行をしたいってか」
ルージュの首にも鎖が伸びていく
「わ、私、触ってない」
鎖を止め、ゆぅは訝しげに眉を寄せる
「昼寝中に触ったらダメって。あなた、まだ起きてたもの」
はぁ?っと目を真ん丸に見開くゆぅ。ルージュを掴んでいた手が緩む。と、その隙にルージュは巻物を胸元に抱え込む
「あなたの宝物、いただいたわっ!」
ゆぅは力が抜け、鎖の外れたロジャーが咳き込んでいる。必死に睨み上げるルージュを、ゆぅはしばらくぽかんと見下ろしていたが....
「プッ....あはははははっ!あの状況で、よくもそんなへ理屈が出てきたもんだ!大したタマだよ、気に入ったっ!」
お腹をかかえて笑い続けるゆぅをキョトンと見上げているルージュ。その肩をロジャーが優しく叩き、耳元で何かを囁いた
「え?....か、返して欲しかったら?守ってあげるから?お供をさせて?ゆぅ女王陛下?....え?女王陛下?」
「ぷっ、ふふふふっ、何で一言一言疑問形なのよっ!っていうか、そんなこと言わせなくていいわよ、ロジャー!あははははっ!」
ひとしきり笑うと、ゆぅは海に入って2人に言った
「アンタ達、超特別なんだからねっ...ちょっと潜ってくるから、それでも見て待ってなさいな。あ、後で返してもらうからね、ふふっ」
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