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海の青と月の気持ち 〜 JOKER
デジャヴ
西の太陽が赤みを帯び始めたころ、ゆぅはぼんやりと目を覚ました。体を包んでいるものとすぐそばの気配に安堵する。ぼやけた視界に映る人影に声をかける


「....ドフラミンゴぉ」


「ンだと?」


ハッとして目をこするとキッドが不機嫌そうに座っている


「裸で何してんの?キッド」


「上着はてめぇにかけてあんだろうがっ!無防備な女が転がってっと、落ちつかねェやつらばかりで迷惑だ」


「だからちょっかい出さないように隣にいてくれたの?多分、無意識に払いのけるから大丈夫だと思ったんだけど」


「ああ、払いのけられんのがわかってんのに触ろうとして痛い目にあうヤツが続出だ。それが迷惑だってんだ」


「痛い目にあわなかったのはキッドだけだったな」


「キラー!....余計な事言うんじゃねぇ」


キッドの上着に包まったまま、体を起こして座るとゆぅは目の前に腰を下ろしたキラーに尋ねた


「そういうキラーは、ちょっかい出さなかったの?」


「何が起こるか試しただけだ。頬と頭をなでても問題はなかったが、コイツで斬りかかろうとしたら、取り上げられて投げ返された」


驚きの表情でキラーを見るゆぅ


「拘束された女の子の服を刻むのは趣味じゃないけど、寝てる女の子に斬りかかるのは趣味ってこと?」


「俺らよりだいぶ上のヤツに女の子って言われても困るよなぁ、キラー?」


「だいぶ上ってなにっ!アンタ達と対して変わらな...(アレ?)...20代は十分『女の子』よっ!」


(また自分の歳もわかんない、もうろくババアとか言われちゃうとこだった....)


「服を刻むのが趣味じゃないだけだ。で、キッドの上着が気に入ったか?」


「あ、そういえば。なんか落ち着くのよねぇ。でも、キッドが風邪ひいちゃうわね。はい、ありがと」


「そうか、キスした男の匂いは落ち着くものか」


「キラー!!てめぇっ!」


「な?ちょ、ちょっと!さっさと着なさいよっ!やっぱりそういうつもりで脱いだんでしょ!」


「違ぇよっ!....だいたい、七武海のヤツに邪魔されて口にはしてねェ」


「ドフラミンゴ?来たのっ?」


「一瞬目がくらんでヤツの顔が見えて声が聞こえただけだ。『俺のモンだ』ってな」


「...そう。でも迎えには来てくれないのね」





「面倒くせぇヤツの事は忘れて、俺の女になっちまえ」


肩を抱き寄せて言ったキッドをじっと見つめているゆぅ。揺れるアメジストの瞳。しばらくして、静かに答えた。


「でも、ドフラミンゴが俺のモノって言ったでしょ?アタシの瞳と髪がこの色のうちはダメなのよ」


「だから『ごめん』か。さっき寝ぼけながら言ってたぜ」


「何でアタシが襲ってきた人にあやまんなくちゃいけないのよっ!」


ゆぅが肩に置かれたキッドの手を叩き、キッドは手を離してヒラヒラさせる


「知るか。じゃぁそのあとの『ホントなら』ってのは何だってんだァ?」


「そんな寝言のこと言われたってわかんないわよっ!ホントなら?....ぶっ飛ばしてやるのに、じゃないかしらっ?」


「残念だったな、キッド」


「うるせぇ、てめぇが余計な事言いだすからだろうが」


ゆぅの瞳にあの金色の灯が瞬いていたのはあの時だけだった




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あきゅろす。
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