海の青と月の気持ち 〜 QUEEN 海色の姫 空色の鳥 ....A Long, Long Time Ago.... 「っていうお話を読んだの」 「それは随分と昔の話だな。そんな本、どこで見つけた?」 「あのね、城からここに来る秘密の道の途中にね、秘密の部屋を見つけたの!そこにあった緑のキレイな石に教えてもらったの」 「それは『読んだ』じゃなくて『聞いた』だな」 「でも、キレイな絵本だったよ?」 「あぁ『見えた』のか」 「声も聞こえたし」 「それはその石、エメラルドの記憶だ」 「アレがエメラルドなの?」 「こういう色だっただろ?」 少女の目の前にエメラルドのカケラがキラキラ舞う 「そう、コレ!アナタも持ってたの?」 「あぁ、彼らから1つ貰ったものだ。お前の城にあるものと同じだな。最後の1つは彼らが持っている」 「太陽や月のカケラもキレイだけど、コレもキレイね」 「おとといは海と満月の祭だっただろ?」 「そう!アタシやっとあの祭に出られたのよ!もう体も丈夫になったからって!」 「お前が『読んだ』のは、あの祭の元になった話だ。祭には空色の鳥と海色の姫が出てきたはずだ」 「ねぇ、アタシの体もあのお姫様みたいに治してくれたの?」 「........どうだろうな」 「あと、あのお話がエメラルドの記憶なら、本当のお話なの?アナタも持ってるし、貰ったって言ったでしょ?」 「もう神話と言われるほど昔の事だ。世界も分離と融合を繰り返し誰も覚えてはいない」 「でもアナタは覚えてるじゃない」 楽しそうに嬉しそうに笑う少女 「思い出しただけだ。ずっと忘れていたよ」 ―― あの日、お前の両親が来た時まではな 「ねぇ、今もあの2人は仲良しなのかなぁ」 「お前はどう思う?」 「ずーっと仲良しだと思うよ。空を飛んだり、海を泳いだり、船に乗ったり、知らない島を散歩したり!」 「そうか」 「でね。きっと『カンパ〜イ』ってするのよ、海と月がある限りね」 白く長い髪を揺らしながら守られるように海の中を漂う少女は、赤い瞳を嬉しそうに細めて笑った -------------------------------- 世界と人と物語は 出会いと別れを繰り返し流れていく -------------------------------- 「海色の姫 空色の鳥」 End. [*前へ] [戻る] |