海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
choice パートナー
「時が流れて、ロジャーの時代の後の子たちが海に出るようになってきて....」
キッドくんにとってロジャーは話で聞いただけの存在だったから、その生きた証しを示すことは『海賊王』っていう夢をゆるぎない物にするための、強力な支えになるものだと思ったの
もちろん、そんな事しなくてもキッドくんは海を渡って行ける人だけど....人々の記憶が薄れ、ねじ曲がっていったとしても、アタシはそれを伝える事ができるから
でも、結局はそれをキッドくんにあげたのはニューゲートだった
他の新しい子どもたちにも、あの日疑っていた大人たちや、また忘れそうになっていた大人たちにも...道が示された
「アタシは、人が意志や時を紡いでいくのを見たんだって思ったの。だから、アタシが見届けなくちゃなんて想いも必要もないってわかったのよ」
ゆぅは大きく息をする
「ROUGE達が考えてくれた、パートナーっていう関係も、ね」
巻物を出し、開きながら「やっぱりね」と続けるゆぅ
「キッドくんで最後。次の人の為の余白がないのはそういう事。ドフラミンゴの時も、黒、ミホークの時も、今まではみんな手配書に名前が書かれた後に新しい余白ができてたもの」
ほら、と、あちら側に開いて見せたゆぅ
「でも、ROUGE達や今までのパートナー達が込めてくれた想いが無くなったわけじゃないのよ。制約付きの恋人がいなくても、アタシはもう大丈夫になったって事」
「俺は恋人とやらにはなっていないがな」
「そう、それ。パートナーの夢を一緒に追いかけるのに、恋人である必要はないのよ。そして、夢の手伝いっていうルールがあったから、キッドくんの恋人にはなれなかった」
「フッフッフ、危なく持っていかれるとこだったがなァ?」
「あの時もドフラミンゴと『契約』してたから。ただの恋患いが、記憶をなくすほどになった」
ドフラミンゴの嗤い顔が苦いモノに変わる
「一族の子は絶対恋人にならないとか、大好きなだけじゃパートナーにも恋人にもなれないとか」
パートナーの話になってからマルコはずっと眉間にシワを寄せたままでいる
「....『自由の代名詞、海賊の女王のくせに不自由過ぎる』って、キッドくんに笑われたわ。ホント、その通りよね」
飽きれ顔で笑うゆぅだが、ミホークはまだ納得がいかない
「パートナーを止める理由にはならんな。恋だの何だのはどうでもいいが、夢を見届けるのが....」
「そんなの、それこそパートナーじゃなくていいのよ。応援したり育てたりするのに、そんな理由付けはいらないの....まぁ、剣の道しか見ないで、それ以外の事には何かと理由を求めたがるアンタには....」
「そういう事ならわからんでもない....俺も、俺の首をとろうという者の面倒をみることになった」
「はぁ?」
「なるほどな。確かに師も弟子も言葉にするような理由らしい理由はいらぬ。ロロノアも見ればわかる」
「ゾロ!?まさか、アンタ達がねぇ....ふふっ、弟子にとっての大きな壁であり続けるように頑張ってね」
「当然だ。まぁ、ロロノアはストーカーとやらの素質は皆無だがな」
「何を教えるつもりよ!」
「つまり、パートナーというものをやめても、気に入った者に過剰な節介を焼くということだな?」
「まったく、カンに障る言い方を!そうよ、アタシは人が夢を追う姿を見るのが『生きがい』らしいからね!」
あの頃のように、ミホークとゆぅは挑発するようなニヤリとした顔を交わした
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