海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
choice 海
階段を上がり中に入ると、ひと部屋ほどのホールがあるだけ。その真ん中には丸い井戸のような物があり、海水が溢れそうなほど満ちて満月を映し出していた
『姉さま....』
その向こうにぼんやりと現れた3つの人影
「父上、母上、神殿を見つけてくれてありがとう。ROUGE、あなたも来てくれたのね」
『わたしはちょうど、魂の巡る合間にいたから。でも、よかった。今度はちゃんと姉さまの選択の場にいることができる』
「前はアタシが勝手に決めちゃったもんね。そのせいで、結局みんなに心配をかけちゃって....ありがと、今まで見守ってくれて」
『姉さま、そんな言い方....』
―― その悠久の存在を放棄する事は叶わぬ。人間を終える時は我らの一部となる時。その時が来てしまったということか?
井戸から響く声に息を飲み、ゆぅを見るマルコとドフラミンゴ
「違うわよ?アタシは海にはならない。ふふっ、そんなのアナタも望んでないじゃない」
安堵のような物悲しいような音色でチャプンと鳴った波音
「それに、その選択肢はもう無いわ。アタシに人間でいろって言ってくれた人がいたから....ここ最近ずっと溶けずにいたでしょ?そしたらね、楽しいだけの海の中より、混沌としてる海の上っていいなって....」
ゆぅは次第に俯いていってた顔をあげる
「楽しくてあっという間に過ぎる時間より、いい事もイヤな事も色々ある方が『アタシである』実感があったの」
だからね、とミホークに振り返り笑う
「生きがいの事も、前はパートナーがいる時しか海から出てなかったからってだけなのかも。誰とであっても、一緒にいる時間が結局楽しくなっちゃっうんだもん」
プイと横を向いたミホーク
「どうせ、周りの者を巻き込んでの大騒ぎが気に入ったのだろう。海の中で大人しくしている方が人間には良かったかもしれん」
「何照れてんのよ、珍しいわね」
ゆぅはクスクスと笑ったが、ふと笑いを止め遠くを見るように話し始めた
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