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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
特別だから
月が照らし出した海の道を進んで行く船。潮風に髪をそよがせ、微笑みながら見送るゆぅ


右隣に並び、不機嫌そうに腕を組んでいるミホーク


左側でまだ座り込んだままのドフラミンゴは、大波の余波に揺れる自分の船をニヤニヤしながら見ている





不意にゆぅを後ろから抱え込む両腕




「........ゆぅ....」


搾り出すように呼ばれた名前
震えるように吐き出された息
....震えている、腕



「ねぇ、どうして?....マルコ」


空が青い理由を尋ねる子供のように純粋な声の響き。ゆぅはそっとマルコの腕に右手を添える


「どうしてまだアタシを抱きしめてくれるの?さっきはアタシの意識がなかったのに。契約の風は吹かなかったの?」


「いいやァ、俺もくらったぜ?フッフッフ、それ以前にゆぅが倒れそうなのにピクリとも動けなかったしなぁ?」


能力を使う事すら忘れてたと嗤うドフラミンゴ


「俺は....特別なんだよい。オヤジにもそう言われたよい」


ゆぅを抱きしめる腕に力が入る


「もう、パートナーなんか探さなくていいよい。誰ともどこにも行かねぇで、俺と....」



「オイオイオイ、抜け駆けしてんじゃねぇぞ?ゆぅは俺と行くのが幸せに決まってるだろうが。何もかもわかってる俺となァ?まぁ、パートナーがいらねぇってのは賛成だがな」


ゆぅの左手を掴み、不敵に嗤うドフラミンゴ


「ドフラミンゴも、なのね」


「俺こそが特別じゃねぇか、フッフッフ」


ヤレヤレというように大きなため息を吐き、ミホークが横目で3人を見る


「ソイツに惚れているような事を言っている割に、パートナーがいらぬなどと....生きがいを奪うつもりか?」


「ふふっ、珍しく優しい事言ってくれるのね、ミホーク」


「名を呼ぶな、白。それともまた良からぬ事でも企んでいるのか?」


「企んで....るのかもね。アタシ自身にだけど。いいか悪いかは、やってみなくちゃわかんないわ」




ゆぅはマルコとドフラミンゴの手を解くと、数歩進んで海に踏み込む


「父上、母上、そして海にお願いがあるの。月の神殿を探して。アタシ、また選択の時が来たんだと思う」


ゆぅは残っていたもう一つのエメラルドに語りかけ、海に映る満月の像に投げ込んだ





「今夜がダメなら、次でもその次でも....アタシはここで待ち続けるから」




ゆぅの言葉に決意を確認したかのように、海面の月が輝きを増していく



空の月と海の月の光が同じ強さになった時....海の月を冠した小さな社が海上に現れ、空の月とともにゆぅを照らした




海水が退き、ゆぅから社への道を作り出す




「アタシの行くべき道を示してくれたから....特別に3人とも付き合ってくれる?」




返答のない3人に、唖然としているであろう彼らの顔を思い浮かべ口角の上がるゆぅ。ニヤリとしながら振り返ると....


「こんな物を呼びだすなど、やはりくだらん企みだったな」

先程よりも不機嫌そうなミホーク


「フッフッフ、なるほどな。えらく懐かしい代物じゃねぇか」

ニヤニヤしながら立ち上がるドフラミンゴ


「言われなくても、ついて行くに決まってるだろい。そんな所に引きこもられたらたまんねぇよい」

手を当てた首を軽く回し、歩き始めるマルコ



一瞬唖然としたのはゆぅの方だったが、すぐ嬉しそうに笑うと、振り返って月の神殿へと歩きはじめた




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