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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
心残り
再び浜辺に近づいた船


船尾甲板から見下ろすキッドの周りでは、クルー達がまだ「乗って行け」と騒いでいる


「そういやぁ、1つだけ心残りがあったな」


「え?何?言うなら今のうちよ、キッドくん?」


隣に立つキラーがキッドの肩に手を置く


「呼び方はそのままのようで良かったな、キッド?」


「なぁに、やきもち?キラーくん」


「....すまない、勘弁してくれ、ゆぅ」


「知ってるか、ゆぅ?キッドの頭よりもキラーの方がゆぅが乗ってかねェのを残念がってんだぜ?」
「ゆぅがいなきゃ、つっこめねェもんな?」


うなだれたキラーを見て起こった笑い声は、続いた誰かの声で爆笑に変わった




「おい、てめぇ。ゆぅにナニつっこむつもりだ?」


とたんに静かになり殺気立つ甲板


「からかうって意味に決まってるでしょ?って言うか、邪魔しないで、ドフラミンゴ!」


肩に回してきた手を取ると、ゆぅはドフラミンゴの力を抜き座らせる


「海の、力も、戻った、ようじゃ、ねェか」


「ふふっ、キッドくんが助けてくれたからね」


ゆぅはニッコリと笑うと、海水の玉を作りドフラミンゴの首から下をいれてしまう


「お、俺もアレやられた。水浴びのヤツ」
「俺もだ....イヤな懐かしさだな」
「ゆぅにかかれば俺ら下っ端も七武海もただの海賊ってことか....」


「で、何が心残り?キッドくん」


ゆぅの微笑みに冷たさが残るのは気のせいでは....




「....おい、全員配置につけ」


えー!?と不満の声が上がる中、キッドが振り返り二言三言伝えると、クルー達は笑いながら散っていく


「じゃぁな、ゆぅ」
「またどっかで会おうぜ!」


船尾にはキッドとキラーが並び立つのみ。船がゆっくりと動き始める


「ちょ、ちょっと?いいの、キッドくん?」


「ゆぅ、俺たちに色気を見せるとか言って、酒場の女にちょっかい出したのを覚えているか?」


代わりに口を開いたキラーに、ゆぅは笑いながら答える


「もちろん。次の日の愉快な侵入者たちもね」


「頬に軽くキスしただけで女が倒れるとか、それを見てるだけの周りの野郎どもが発情しちまうとか、たいそうな色気だったのにもったいねぇ」


ため息をついたキッドは、ニヤリとゆぅを見る


「せっかくパートナーになったのに、俺だけヤってねぇんだよ!」




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