海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
迎え
赤い影が走り込み、倒れるゆぅを抱き留めた
「迎えに来たぜ、ゆぅ」
うっすらと目を開いたゆぅが呟いた名前
「ユースタス・キッド....キッド、くん」
「あぁ、やっと俺のゆぅだ....待たせちまったな、ゆぅ・THE・GOLD」
風に巻き上げられた砂が、月の光に照らされて金色に光りながら2人を包んでいく
待て....待てよい、ゆぅ
また、俺の前から連れ去られるなんて....
マルコの伸ばした手の先
勢いを増した金色の竜巻は2人をすっかり隠し、やがて上空へ弾け飛んだ
あの船はヤツラじゃねぇ、コイツだった。あの時に感じたのは、ゆぅを奪われそうな予感への苛立ちだったのか
キラキラと輝きながら舞い落ちる砂の中、変わらずゆぅを抱えているキッド
腕の中でぐったりとしたままのゆぅは、黒髪に赤いメッシュへと姿を変えていた
「ゆぅ、また泣きながら気ぃ失ってんのかよ....俺はちゃんと離さずに抱えててやるから、さっさと目ぇ覚ましやがれ」
ゆぅを抱えたまま立ちあがるキッド
「てめぇだったか、ゆぅをたぶらかしやがったのは」
「本当なら、あの時から俺のゆぅだった。みっともなく執着してただけだろ、『あの人』さんよ?」
静かな怒りに満ちた声のドフラミンゴをものともせず、キッドは軽くあしらった
浜辺に近付けるギリギリまでやってくるキッドの船。船べりからはクルー達が総出でこちらを見下ろしている
「ゆぅだ!」
「前よりかわいくなってるな」
「髪も似合ってる、頭ともピッタリだ」
「また『キッドくん』が始まるぜ」
「忙しくなるな、キラー」
大騒ぎのクルー達とは対照的に、キッドに尋ねるキラーの声は静かだった
「どうした、キッド、乗らないのか?それとも....乗れないのか?」
「....ゆぅが起きねぇ。しばらく沖で待ってろ」
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